やなぎみわ展「神話機械」&ライブパフォーマンス「MM」
会場:神奈川県民ホールギャラリー
2019年10月20日~12月1日
やなぎみわは昔、写真を中心に活動していた頃は東京で展覧会があって何回か見ることができた。その後、関西に拠点を構えて演劇やパフォーマンスをやるようになってからは縁がなくなってしまった。
神奈川芸術劇場でも上演したことがあったのだが、気付いた時には終わっていた。今回は、事前に展覧会があると知って行くことが出来たのである。
期間の終わりの二日間だけライブでパフォーマンスをやるということで、埼玉から何回も行くのは面倒なので、両方同じ日に見ることにした。ライブのチケットで展覧会にも入れるのだ。
展覧会は大型写真作品と巨大演劇空間「神話機械」、演劇作品4本のアーカイブからなる。
写真の方は2000年代初めのものが中心。女の子が童話の登場人物や自分が老婆になった時を創造してその姿に扮する。(過去の感想)
中に映像作品で、少女と老婆が互いに寝かしつけようと格闘するのが笑えた。最後には童話風のセットそのものが崩壊していく。
「次の階を探して」は架空のエレベーターガールたちを美しいが無機的な空間に配置した、初期のシリーズの一つ。1996年作品で今となっては懐かしい。赤いハイヒールの革作品は初めて見たけど #KuToo の先取りかも。
広いスペースを使った「神話機械」は最近の作品。動きがプログラムされたマシンが4台あって、空間の中を動き回って無人のパフォーマンスを行う。これは時間を決めて日に3回稼働していた。
痙攣してのたうつような動きをするだけのものもあれば、ベルトコンベア上のドクロを壁に向かって投擲するマシンもある(当然ドッカンと大きな音がする)。と思えばセリフを語って移動するものもあった。
動いてない時は巨大インスタレーションとして見ることができる。
また演劇アーカイブ・コーナーでは過去の作品4作が資料と映像でたどれるようになっていた。東京ローズを題材にした「ゼロ・アワー」が面白そう。中上健次の原作による「日輪の翼」はトレーラーで移動し各地で上演したらしい。横浜に来た時に見たかった。
さて、二日間のみのライブ・パフォーマンスはギャラリー閉館後に行われた。
「神話機械」のスペースでトランスジェンダーの役者とマシンが共演するというもので、「ハムレット」とハイナー・ミュラーのテキストを使用。音楽も奏者は観客からは見えないが即興でその場で付けているとのことだった。
一時間ぐらいの長さで、シェークスピアやギリシャ神話の登場人物が交錯する。ミュラーの作品を知らないと難解な部分を感じた。
役者の身体と言葉が神話と権威に絶えず疑問と異議を唱える。床でのたうったり拍手喝采したりドクロを壁に投げつけたりする機械は、その良き助演者というところだろうか。
終了後は、やなぎみわとハイナー・ミュラーの翻訳者、神奈川県立近代美術館の館長のアフタートークがあった。各地を回るうちに内容は変化しているとのこと。劇場ではなく美術館という開放的なスペースでやることに意味がある、などという話もあった。
埼玉からはさすがに遠くてトークを聞いて帰ったら11時過ぎていた。おまけに寒い日だったし{{ (>_<) }}ツカレター
最初の方にも書いたが、最近は関西中心の活動なので情報を得にくい。今回この展覧会を知ったのはたまたま見た「神奈川芸術プレス」というPR誌に紹介記事が載っていたからである。
表紙が来年の二月末に神奈川でヘンデルのオペラ『シッラ』をやるファビオ・ビオンディで、インタビューも入っている。これを読むために貰ったら、その次のページがやなぎみわ展の記事だった。そうでなかったらこの展覧会が開催されたこと自体も知らなかったろう。
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