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2019年12月18日 (水)

「ガブリエーリとシュッツ 神聖なる響きの大伽藍」:上野にあの大聖堂出現

191218 演奏:エクス・ノーヴォ室内合唱団
会場:東京文化会館小ホール
2019年11月11日

ガブリエーリ(ジョヴァンニ)とシュッツ、日本ではなかなかナマで聞ける機会は少ない作曲家である。
この二人、なんか関係があるの(^^?なんてシロートは思ってしまうが、若きシュッツはヴェネツィアに留学して晩年時のガブリエーリに学んだそうである。そして十数年後に再びヴェネツィアを訪れたシュッツは、大規模な合唱からオペラや小編成のものに流行が変わっていて驚いたそうだ。シュッツの作品自体も作曲年によって大きな変化が起こる。
なんて話が開演前に福島康晴から解説あって本番突入である。

総勢合唱が9人、器楽11人が曲によって頻繁に入れ替わる。特にコルネット×2、トロンボーン×4という布陣は豪華。往年のヴェネツィアの輝かしい響き、そしてその後に移り変わっていった変遷(シュッツが目の当たりにした)を二人の作品から聞かせてくれた。

コーラス総出の華やかな曲があれば、マドリガーレの影響を受け情念を前に押し出して表現したものもある。
そんな中で非常に印象が強かったのは、シュッツの「我が息子アブサロムよ」。珍しくも歌手がバス一人でトロンボーンは4人という編成に、亡くなった息子を悼む内容である。サウンド的にはかなり風変わりではあるが心に迫ってくるものがあった。

その他、様々な組み合わせで楽器と声の響きを楽しめた。例えば、ガブリエーリの「会衆の中で主をたたえよ」はコーラスの第2グループはほとんど「ハレルヤ」しか歌わない。さらに楽器のグループも別にあって、その掛け合いが見事で華やかだった。

ラストのガブリエーリ「マニフィカト」は17声で4グループに分かれ、その半分以上は作曲者が器楽か声楽か指定してなくて、演奏者が決めることになっているそうだ。
今回は、扇状に広がる会場の座席後方に二つのグループを左右一つずつ配置するという大胆なものだった。しかもそこに入る楽器が管楽器ばかりなので、エコーを大胆に伴うド迫力なサウンドである。
かくして東京文化会館の小ホールがサン・マルコ大聖堂に変身。往年の輝かしい分割合唱の響きとはこのようなものであったか……と古楽ファンとしては感動の涙であった(T^T)クーッ

なお、休憩後の最初には本来このコンサートに出演予定だった故・渡邊さとみ氏への追悼演奏があった。ビクトリア「わたしの竪琴の音は哀しみとなり」で管楽器も全員参加。これにも泣けました。
福島氏によると、彼女はスペイン留学中にW・クリスティに才能を見込まれてスカウトされたとのこと(すごい✨)。亡くなる直前までメールでコンサートについて連絡を取っていたけど、健康上のことには全く気付かなかったそうである。合掌(-人-)

盛りだくさんで内容充実、事前解説付きでチケット4500円とは超得公演だった。
次回は5月にA・スカルラッティ、12月にモンテヴェルディ聖母の晩課とのことだ。

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