ヘンデル「リナルド」:こいつばかりがなぜモテる?
北とぴあ国際音楽祭2019
演出:佐藤美晴
演奏:寺神戸亮&ラ・ボレアード
会場:北とぴあ
2019年11月29日・12月1日
『リナルド』というと、何年か前にNHK-BSで放映されたのを見たことがある。R・カーセン演出でグラインドボーン音楽祭で上演されたものだ。その時は登場人物がハリー・ポッターみたいな制服を着ているファンタジー学園ものを模していた。確か『ET』みたいに自転車が飛んだのを記憶している。
今回は舞台上に演奏者がいるセミステージ形式とは言え、背後に巨大な割れた鏡が置かれていて、全体にも鏡(=魔法か)のモチーフが頻繁に使用されていた。
主役はBCJでもお馴染みCTのクリント・ファン・デア・リンデで、衣装やカツラで純朴青年風のイメージとなっている。ヒロインのアルミレーナ扮するフランチェスカ・ロンバルディ・マッズーリは小柄でカワイイ感じ。
純粋無垢な二人に立ちはだかるのが魔女アルミーダだが、派手な出で立ちで登場するのが去年は貞淑な妻を演じていた湯川亜也子だ。全く正反対の役だが身長があるので迫力ある魔女にもピッタリだった。相手役のフルヴィオ・ベッティーニはマフィアの首領みたいに登場して笑わせてくれた。二人合わせると、ギャングとその情婦にも見える。
全体には純朴な少年少女を、大人の(倦怠期?)男女がちょっかい出して邪魔をしておびやかすという図式っぽい。
私は二日目の方に行ったのだが、初日の後に「湯川亜也子よかった」というネットの書き込みが相次ぎ、実際見てみたら本当に歌も演技もなるほど納得の出来だった。
彼女のアリアでオーケストラの通奏低音の面々の顔を撫でて回る場面があって、日頃縁の下の力持ちでスポットライトを浴びることの少ない通底諸氏をニヤニヤと喜ばせたのである。
このように、オケが舞台に乗っているので曲自体にある歌手との掛け合いの部分も目に見えてよく分かった。トランペット隊が軍隊の役割を果たす演出も面白い。ただ、戦争の場面はあっさりし過ぎていたかな。
上尾直毅は昨年同様に奥に座っていたので、ヘンデルが当時弾いたであろう華麗なるチェンバロソロの時も「音はすれども姿は見えず」状態だったのは残念である💨
十字軍の司令官ゴッフレード役の布施奈緒子とその弟・中島俊晴の身長差は30センチぐらいか(^^? わざとデコボココンビにしてるのだろう。
このように、演奏・演出など全体に大満足できた公演だった。次回はリュリの『アルミード』が予定とのこと。しかもクレール・ルフィリアートルが出演予定なので今から大いに期待である。
県民だけど、北区民の皆様のありがたい税金で楽しませていただきまーす(@^^)/~~~
ネットでラモーをやって欲しいという意見を見かけた。しかしラモーはこの音楽祭の最初の頃にもう5作やっちゃってるんだよね……。当時はまだ景気のいい頃だったので、バレエを大々的に導入して大がかりな美しい舞台だった。
クリストフ・ルセが指揮した年があって、自分のコンサートがその「裏番組」になってしまった某チェンバロ奏者が公然と罵ったという逸話あり(あくまでも噂ですよ(^^;)。
なお、今年の秋に神奈川県立音楽堂でBCJがやはり『リナルド』やるそうな。ええー❗そこまでのリナルド人気なぜ? まさかコンマスはこちらも寺神戸氏じゃないよね。
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