「薔薇はシュラバで生まれる」
70年代少女まんがアシスタント奮闘記
著者:笹生那実
イースト・プレス2019年
→A5判だけど装丁はコミックス仕様。
1970年代に少女マンガ家たちのアシスタントをした経験を綴った回想録マンガである。数々の名作誕生に立ち会った体験は貴重なものだ。
一番多く登場するのは美内すずえ、そしてくらもちふさこ、樹村みのり、三原順、山岸凉子などなど。それぞれのマンガ家の顔がその作風のタッチで描かれているのが面白い。
他にも綺羅星のごとく当時のマンガ家たち(私も愛読しておりました)の名が方々に登場する。
迫る締切にカンヅメで不眠不休食事もせず風呂も入らずというような描写から、シュラバの定番「コワイ話」もあり。ただ、さすがに男性のマンガ家みたいに窓から逃げ出したというような逸話はない。
個人的には樹村みのりが作品そのまんまの人物なのに感動。真面目かつ頼りになる人柄ですね✨ 三原順は人物像を全く知らなかったので、これまた感慨深かった。
名編集者の小長井氏は、二年前に一度持ち込みをして作品を見せた著者に「何してんですか?」と電話をかけてきたという。こまめに新人フォローしてたんだなと感心。
意外だったのは、あの『天人唐草』は「青春もの」をという依頼で描かれたという! ええーっ、あの恐ろしい話が青春……(>y<;) さらにその後日談はファンには感慨深い。
そして、『ガラかめ』月影先生の(一張羅の?)黒服は作者も「暑そう」と思いつつ描いていた。いや、美内先生たまには涼やかな白の夏服を月影先生に着せてくださいよ~💨
などなど驚くエピソード多数であった。
当時の少女マンガの愛好者、興味のある人は読んで損なしだろう。特に同時代の読者なら感動の涙は必至。
しかし、マンガ描くのもデジタル化した今は、もうシュラバ(場所としての)は存在しないんですねえ。
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