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2020年4月 9日 (木)

「ある女優の不在」:遠ざかる女たち

200409 監督:ジャファル・パナヒ
出演:ベーナズ・ジャファリ
イラン2018年

現在、国家より映画製作禁止🚫処分を受けているパナヒ監督……のはずが、なぜか次々と新作を発表している。この最新作もカンヌに出品されて脚本賞受賞をした。
前作の『人生タクシー』同様、自分や女優がそのまま出演するフェイクドキュメンタリー風の作りになっている。

ある日、パナヒに若い娘が自殺するスマホ映像が送られてくる。彼女は役者を志しているが家族に反対され、その道を断たれて絶望したというのだ。
娘が助けを求めていたという人気女優ジャファリと共に、彼はトルコ国境近くの村に赴く。

イランにおいてもド田舎の保守的な土地である。若い娘っ子が女優志望などとは家の恥と思われても仕方がない。
そんな土地柄のせいか、二人を迎える町の人々は純朴で人情味あふれる……一方で慇懃無礼なイヤミと毒を垣間見せる。ここら辺を飄々と描く監督も相当なヤツといえよう。

果たして娘の自殺映像は本物なのか?
やがて、革命で映画界を追われたかつての大女優が村で隠遁生活を送っているのを知る。ここで三世代の女優の人生が交錯するのだった。
しかし、男性で監督であるパナヒはそれを脇からただ目撃するのみ。決して踏み込むことはできない。そんな自身をも淡々と映す。

冒頭から長回しを多用しているが、それは映すに足る素材があってこそというのがよーく分かった。
あと、割礼の●皮の話ってイランでは普通なのか(?o?)ひえ~っ

ただ、途中でストーリーが飛んでいるような感じで戸惑った(路上の牛の後あたり)。いきなり二人の女が仲良くなってるし、突然封筒が出てきて解決策をいつ考えたのかも不明である。
上映時間を見るとカットされてるわけではないようだし、訳ワカラン状態だ。

牛が鳴く夜の村はずれを行く車とバイク。イランにも暴走族とかいるのかしらん。

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