【回顧レビュー】東京グランギニョル「ワルプルギス」
平常が戻るまで昔の公演を振り返る。今回はコンサートではなく芝居を紹介。
会場:大塚ジェルスホール
1986年10月
かつての情報誌「シティロード」(古い!)の星取表にこの劇団の前作(『ライチ光クラブ』)が取り上げられ、どの評者も絶賛状態だった。
それを読むとどうにも見に行きたくてたまらなくなり、芝居など全く縁がない人間だったが突撃したのだった。
小劇場については当然何も知らなかった。開場よりも前に行って整理番号貰って並んで待ち、中は椅子もない階段状の狭い所でギュウギュウに押し込められて身動きもできなかった。推定乗車率200%ぐらいだろう(^◇^)
主宰者の飴屋法水は作・演出・音楽・出演。他に嶋田久作、越美晴など、美術は三上晴子。
近未来風の廃墟都市に吸血鬼と若者が暴走徘徊するようなストーリーと記憶している。
錆びついた鉄のオブジェに覆われた舞台、耳を聾するインダストリアル・ノイズ、長々と続く吸血儀式、さらに飛びまくる血糊にもビックリの連続だった。
事前の想像を遥かに超えるもので、それは「名演」でも「名作」でもなく、例えば名優がシェイクスピアを演じるという次元とは全く異なっていた。
ただ作り手と観る側の熱気だけでかろうじて成立しているようで、私は「この世界にこんなものが存在するのか!」と腰が抜けるほどの衝撃を受けた。
これ以降、小劇場に頻繁に通うようになった。といっても田舎に住んでいたので最大記録週三回ぐらい(平日の仕事帰りである)。若い頃だからできたことだろう。
もっとも当時は私だけでなく知人友人も多く小劇場にハマっていた。今は昔である。
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