【回顧レビュー】第13回〈東京の夏〉音楽祭’97
会場:天王洲アートスフィアほか
1997年7月4日~23日
この年のテーマは「神話そして伝説」で古楽系は「預言者ダニエル物語」の三回公演がメインだった。他にはゲイリー・スナイダー、高千穂・韓国・アイヌのそれぞれ神話によるパフォーマンスがあった。
「ダニエル」は12世紀に成立し、それ以降パリ北部の町で歌い継がれてきた聖書の音楽劇を再現したパフォーマンスである。10世紀の写本に描かれている絵の光景をそのままに衣装や舞台を忠実に復活させたのが見ものだった。実際、囚われているダニエルの頭上に羽をはやした天使が宙吊りで飛んだりした。
歌手はブリュノ・ボテルフ、ミリアム・ルジェリなど多数。演奏はニューヨーク古楽アンサンブル。コーラスやダンサーも参加してとにかく豪華だった。引っ越し公演だったらしいが当時だから可能だったので、今の不景気なご時勢となってはもはや二度と拝めないプロジェクトだろう。
ボテルフ氏はクレマン・ジャヌカン・アンサンブルではヴィスの隣にいると目立たなくなってしまうが、大いに才能を発揮してみせた。
会場が天王洲のアートスフィアというのも珍しかった。
同じ音楽メンバーで「媚薬から聖杯へ」というのもあり、これはレクチャーコンサートで中世歌曲を扱ったものだった。そしてエール・ド・クールの「フランス宮廷歌謡の花束」。こちらにはスキップ・センペが初来日で参加。彼はソロ公演もやった。(この頃の写真を見るとロン毛である)
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