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2020年6月 3日 (水)

【回顧レビュー】第1回北とぴあ国際音楽祭1995

200516ta 平常が戻るまで昔の公演を振り返る。

会場:北とぴあ
1995年10月20日~30日

初回だけあって豪華な内容だった。ルネ・ヤーコプス、RIAS室内合唱団、吉松隆、ボストン・カメラータなど。「ピアノの100年」という連続コンサートでは小島芳子、ジョス・ファン・インマゼールが登場。

オープニングはヤーコプス指揮でRIAS室内合唱団による「ロ短調ミサ」。合唱はさすがの大迫力で、弦の音が異様なほどに気持ちよかった。(オーケストラは日本人中心で一部海外勢)
ファイナルはこの年没後300年ということでパーセルの「ダイドーとエネアス」だった。

指揮・ヴァイオリン寺神戸亮、鍵盤にシーベ・ヘンストラ、歌手は波多野睦美、サンドリーヌ・ピオーなど。ナタリー・ヴァン・パリスのダンスも参加して美しく静謐な舞台だったと記憶している。
この頃は来日演奏家もみな無料コンサートやっていたのだった。

余談だがロ短調ミサの時に隣に若いカップルが座っていて、男性の方はウットリして聞いていたのだが、女性はどうも必死に我慢して座っているように見えた。
音楽は人によって好き嫌いが分かれるのでデートに誘う際は注意。「一生こんな音楽聞かされるのはゴメン」と思われたら終了である(^^;)

もう一つ記憶に残るコンサートはボストン・カメラータの「トリスタンとイズー」である。有名な伝説をジョエル・コーエンが12世紀ごろの複数の資料を突き合わせ当時の歌曲でつなぎ再構成したものだ。

確か3種類の言語!が使われ5人の歌手に器楽は7人。さらに詩の朗誦者も入るという構成。字幕はないのでプログラムの歌詞と舞台を交互に見るのが忙しかった。
衣装も装置もなく(「舟」だけはあった)極めて簡素な舞台ながら、原初的な神話の情動に満ちていた。

アフタートークでコーエンは、同じ題材のワーグナーは高尚過ぎだとチラともらしていた。確かにこの12世紀の伝承では、王との結婚がイヤなのでイズーは侍女に身代わりに寝室へ行けと命じる。ここには上品さのかけらもない。
だが、この荒々しい物語が聴衆に深い感銘を与えたのは事実である。

近くに座っていた中年夫婦の奥さんの方が終わった時に「よかったわねえ……」ともらしていたのをよーく覚えている。タイムマシンで時間をさかのぼってもう一度見て(聴いて)みたい。
200516tc

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