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2020年8月24日 (月)

「女帝 小池百合子」

200824 著者:石井妙子
文藝春秋2020年

話題の書である。一時は売り切れてしまい書店から姿を消した時期があったほど。都知事再選記念🎀として、選挙後に買い求めて読んでみましたよ。

出版時から何かと批判の多い本書ではある。しかし面白く読んだ。そもそも私はゴシップ、スキャンダルの類いが三度のメシと同じくらいに好きなのだ。そういうものを下劣と考える人は最初から手に取らない方がいいだろう。

小池氏というと「芦屋のお嬢様」というイメージがあるが、それとは全く異なる実像を幼少時から描いていく。
強烈過ぎる父親の影響、疑惑の元となっているエジプト留学時代、そして部屋をシェアしていた日本人女性の証言。TV番組のアシスタントから経済ニュースのキャスター、そして政界へ……。
このように双六で上がりに近づいていくのはある種の才能がなくてはできない事だろう。しかし、それはあくまでもご当人が自称しているように「政界のチアリーダー」としてであり、決してフィールドを走るプレイヤーの才能ではないのである。
それにつけてもオヤジ社会でのし上がっていくのに重要なのは「ゴルフとカラオケ」、ここ試験に出るからな(^.^)b

私は『ストーリー・オブ・マイライフ』を見て、女が伴侶となる男を求めてピンクのドレスを着て何が悪いと思った。同様にミニスカはいて目をくらますのも自由であるし、それに騙される方もどうかと思う。
しかし、これが私人ではなく政治家となれば話は別である。学歴詐称だって政党除名か議員辞職かという重要問題だ。若気の至りなどと弁護はできまいよ。

いずれにせよ彼女が、「女の子」と「おばさん」としてしか女性が存在しないこの社会のの間隙をついて生きてきたのは確かであろう。
これを読んでオヤジたちが彼女をけなすのは筋違いと言いたい。「チアリーダー」をもてはやすオヤジ根性の方を何とかしてもらいたい。

政治家になってからの言動に注目すると、現在の感染症対策のやり方や「ウィズコロナ」みたいなカタカナの使い方が、ああこの本に書いてある通りだな--と信憑性が一割増となるのであった。

また実質がなく対立だけを煽り立てていくという手法は、かつての映画『オール・ザ・キングスメン』(1949)に描かれたものと全く変わっていない。いやますます強くなっている?のをヒシと感じた。

それから、通して読んでみると平成日本政治史みたいなものも改めて理解できた。その当時は何が起こっていたのかよく把握できていなかったが、なるほどこうだったなあなんて改めて実感した。
政党や政治グループの集合離散ぶりを顧みると甚だしいものがある(その多くに小池氏が絡む)。今でもまだ続けてやってるけどな(^_^メ)

それともう一つ、私の職場に言動が彼女そっくりな人物(女)がいたので余計に真実味がある。
他人の手柄を横取りし過失は押し付ける。常に自分中心。真実は何一つ言わない、複数の人に全く異なることをそれぞれ平然と言う。年下の男はこき使い、年下の女には嫌がらせ。
独自のファッションセンスをひけらかし、それをもって他人へのマウントに使う。

当時は、一体どういう人間なんだ、何を考えているんだと謎だったが、これを読んでこういう性質の人間は他にも存在するんだと納得した。
その点でも読んだ甲斐はあった。

難点をあげると……
発言や事実を、直接人に会って確認したのか資料から得たのかよく分からない。
最初にストーリーが先にあって、それに合わせて記述しているのではないか。
仄めかしが多い(訴えられると困るというのもわかるが)。
容貌のある点についての言及が過剰。
女性のライバル(土井たか子など)を設定して比較して貶すような取り上げ方はどうなのか。
読んでビックリ新事実みたいのは少ない。

しかしまあ、やはり東京都知事だから話題になるのであって、これが埼玉県知事じゃ本にもなりませぬ(-"-)グヌヌ

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