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2020年9月22日 (火)

「囚われた国家」:売国ならぬ売星の輩

監督:ルパート・ワイアット
出演:ジョン・グッドマン
米国2019年

B級SF設定プラス『影の軍隊』的レジスタンスものという、かなり珍しい取り合わせの映画。といってもかなり地味な作りで、もしコロナウイルスの影響で洋画の新作が入って来なくなったという事態がなければ、大々的な公開はなかったろう類の作品である。

異星人に侵略支配された近未来の地球、侵略者は地下で地球の資源を発掘奪取して自星に送る一方、地上では傀儡政権を操り人々を支配しているのであった。
--ってモロにナチス占領下のフランスっぽい。
なのでテーマは「抵抗」、レジスタンス物の名作『影の軍隊』を引き合いに出す人がいるのも納得だ。

かつての戦争の名残か、湖岸(舞台はシカゴだからミシガン湖?)に巨大戦闘ロボの残骸が残されたままになっている光景が面白い。
人々には監視装置が付けられていて、立入禁止区域に行ったりすると異星人の探索隊がすっ飛んでくる。一方で、「昔はひどい状態だった」と侵略者を支持する人間も多いのである。

そんな中でレジスタンス活動が進められていき、ストーリーは二転三転どう進んでいくのか読めなくてドキドキしながら見ていた。
アッと驚く結末で、見ごたえ大いにありの良作だった。

難点はエイリアンの造形がキモ過ぎて、とても支持する人間がいそうには思えないこと。
それから、レジスタンスではない普通の市民の描写がもう少しあってもよかったのではないか。最近のSFなど突飛な設定を描く作品で、そういう描写を飛ばしてしまうパターンが多い。そういう背景を描かないと設定の説得力に欠けると思う。

重低音の効いたサウンドもさらに迫力を増加していた。ただ、カメラを意味もなく振るのは勘弁してほしかった。
役者ではヴェラ・ファーミガがいい味出してました。
それにしても、壁を築き格差を広げ資源を収奪する異星人とは何者を表しているのだろうかね(^^?

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