「日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー」
経産官僚の暴走と歪められる公文書管理
著者:ヒロ・マスダ
光文社新書2020年
「クールジャパン」の美名(?)の下に、映画・アニメに税金をつぎ込んで企画された事業を複数取り上げ検証している。その総額1000億円超……(!o!)
ただし民間が関わっているためにちゃんとした情報公開はなされていないという。
税金から出された予算がことごとく怪しい人物や団体(それらは互いにお仲間同士)へと流されていき、結局制作現場には益なく一銭も渡らずに終わるのが明らかにされるのであった。
なにせ作品の企画段階だけで数億円の金が支出され、しかも結局作られないままに終わろうと関係ないというのだ。
読んだ後は呆れるだろう。
ここ数か月のコロナ禍における給付金やアベノマスク発注を巡る騒動を体験するより以前に、この本を読んだら「ええっ、こんなことが(!o!)」と驚いたに違いない。しかし、今となっては「やっぱりこの業界でも同じだったか」としか思えないのが実に嘆かわしいことである。
また、どうして日本が舞台である『沈黙』や『水俣』が日本で撮影されなかったのかという事情も知ることができた。
それから映画の見本市であるカンヌに「くまモン」が出現した経緯も(^▽^;)
ただ、シロートには長くて詳細過ぎるのが難点である。
それと個人的には「この映画の企画時のウラ話」的なのがあまりないのが残念だった。
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