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2020年12月 3日 (木)

「LORO(ローロ) 欲望のイタリア」:怪人復活

監督:パオロ・ソレンティーノ
出演:トニ・セルヴィッロ
イタリア2018年
DVD鑑賞

ソレンティーノはどうも作風が苦手だけど、以前同じく政治家もので同じくトニ・セルヴィッロ主演の『イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた男』を見たので、今回も蛮勇を奮って鑑賞することにした。
主人公は伊首相を計9年間も務めたベルルスコーニ。メディア王にして犯罪疑惑があり、派手なセックススキャンダルにも事欠かない。
イタリア事情にうといとどんなヤツだっけ?とピンとこないが、オバマ大統領夫妻(当時)が訪れた時に「日に焼けている」などと(首相なのに)発言した人物である。そういや、トランプ大統領に似ているような。

本作もやはり社会派映画ではなく、シュールな映像にぶっ飛んだ構成である。さらに派手な美女がエロい格好でワラワラと多数登場する。
ただ150分は長すぎに感じた。そもそも元は二本の作品なのをまとめて短縮版にしたというのだから余計に訳が分からなくなる。

前半は地方でくすぶっている若い実業家が、エロくて美人なおねーさん方を集めて(オーディションまでやる)失脚し隠遁生活を送るベルルスコーニになんとか食い込もうと努力する。彼らはは日がな元首相の別荘のそばでバカ騒ぎを繰り広げる。
一方、その広大な別荘でベルルスコーニは何をしているかというと、復活を目指して陰謀をめぐらすこと、そして妻との関係を取り戻そうとすることである。
仮面のごとき笑いを顔面に張り付けたセルヴィッロが迫力である。笑っちゃうけど。

ラストについてはよく理解できない。エアコンの寒風(ゼロ℃設定!)で凍死する羊、そして災害の瓦礫の中から発見される十字架のキリスト像……宗教的な意味があるとは思えるが(?_?)

実在の政治家たちが登場するので、やはり事前にイタリアの政治情勢を予習しておかないとかなり分かりにくい。
ここでは主人公はあくなき権力欲を持っていても、もはやあがくだけの「哀れな老人」として描かれている。しかし、なんと本作が作られた後にまた国会議員として返り咲いているのだ。まさに魑魅魍魎である。
そんな権力者についてこんな映画作っちゃって監督大丈夫かしらん、と心配になったほどだ。

米・英・露・ブラジル、そしてイタリア……ろくでもないリーダーは世界のどこにでもいるのだと分かって、却って安心した。日本だけじゃないよーヽ(^o^)丿
日本版をこういう手法で作ったら面白いかも。ただ、美女盛りだくさんパーティでなくて「桜を見る会」になるけど(;^_^A それはそれで笑えそうな。

「地方都市はエロい美女がいっぱいいる」というのは……イタリアではそうなのか👀と驚いた。

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