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2021年1月14日 (木)

映画落ち穂拾い 2020年後半その2

210114a「ファヒム パリが見た奇跡」
監督:ピエール=フランソワ・マルタン=ラヴァル
出演:ジェラール・ドパルデュー、アサド・アーメッド
フランス2019年

反政府運動のためにバングラデシュにいられなくなりパリにやってきた父子の実話である。難民として入国するも申請が通らず、父親の働き口もない。
しかし、国内でチェスのチャンピオンだった少年の才能が身を助けることになる。言葉もわからぬまま連れて行ったチェス教室にいたのは、優秀ながらガンコ者の指導者(ドパルデュー)であった。

彼と子役少年の演技で見せる作品で、笑いあり感動ありの良くも悪くも予告から想像できる範囲内ではある。
本当に父子を救ったのは、チェス教室のマネージャー女性による大統領への皮肉な一撃だろうか。でも移民・難民のための小学校がちゃんとあるのは感心した。
チェス教室の生徒はユニークな子たちをよく集めたという印象だ。

子どもは異国の言葉でも覚えるの早いね。フランス語を覚えない(覚えられない?)父親を批判する意見を見かけたけど、大人になってしまうとそう簡単にはいかないだろう。
日本でも小学生の子が親の通訳代わりをすることが多いらしい。
まあ、日本だとさっさと強制送還ですかね((+_+))


210114b「2分の1の魔法」(字幕版)
監督:ダン・スキャンロン
声の出演:トム・ホランド、クリス・プラット
米国2020年

兄と弟が魔法の失敗で行方不明の父の上半身を求めて三千里……なんだけど(ちょっと違うか)、どうも最後までノレなかった。
兄弟愛と父子愛のダブル攻撃で、見てる間中「感動しなくちゃ、感動するんだ」と強迫観念がつのってくるがうまくは行かない。

そもそも昔は使えていた魔法が失われつつある世界という設定自体が、どうでもいいとしか思えず。折角のピクサー印なのだが、なんだかなあ。
とりあえず、トム・ホランドは「永遠の弟」ですね(^^)

ピクサー新作『ソウルフル・ワールド』は劇場公開されず残念無念である。非常に評価が高いのに(;_:)


210114c「オフィシャル・シークレット」
監督:ギャヴィン・フッド
出演:キーラ・ナイトレイ
英国2018年

イラク戦争で実は「大量兵器はなかった!」と認定されて(注・日本を除く)から幾年月。その背後にあった国家間の陰謀の証拠を、マスコミにリークした職員がいたのだった(実話)。

……といってもスパイ映画のようなアクションやサスペンスがあるわけではない。
信念を持った一人の女性の行動とそれに応えたジャーナリズムが並行して描かれるという、大変に地味な作りである。愚直なまでにストレートな描写が続く。
それを演じる役者たちの力量が最大の見せ場だろう。

それにしても裁判の行方は呆気に取られてしまった。なんなのよ💥

ギャビン・フッド監督はこの路線が行けそうでよかった。『エンダーのゲーム』なんかどうしようと思ったもんね。
キーラ・ナイトレイの方はレイチェル・ワイズの後継者路線を取ってもよさそうな印象だ。レイフ・ファインズは出ると知ってなかったら最初分からなかったかも(;^_^A
それから米国の記者はリス・エヴァンスだった。かなり久し振りに見た気がする。


210114d「ようこそ映画音響の世界へ」
監督:ミッジ・コスティン
米国2019年

業界の人間ではないシロートには知られていない分野について、紹介&解説してくれるドキュメンタリー。

私は映画を見ている時は、視覚の方に集中力を全部取られてしまうので、音楽や音響の方にはあまり注意が行かない。だからこういう解説はありがたかった。エンドクレジット眺めていて「これはどういう役目なんだろう」という疑問が少しだけ解けた。
しかも「映画館の音」として実際に体験できるのだから、やはり映画館で見ないともったいない。

取り上げられているのは『スター・ウォーズ』や『地獄の黙示録』などメジャーな作品が多かった。米国以外やマイナー作品は少ない。一応「正史」と考えれば仕方ないということだろう。
歴史、功績者、実際の作業編と三つに分かれているので、明確に章立てした方が分かりやすかったと思う。

このドキュメンタリーには出てこないが個人的に音が記憶に残っているのは『脱出』。常に川の水音が流れていて気分が悪くなるぐらいであった。

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