「ストレイ・ドッグ」:怒りをこめてぶち壊せ
監督:カリン・クサマ
出演:ニコール・キッドマン
米国2018年
ニコール・キッドマンがアル中やさぐれ中年刑事になって薄汚れたLAの街を徘徊する。そのやさぐれ度・ヨレヨレ度が中途半端ではない。「え~~っ❗あのニコールが。うっそーΣ( ̄□ ̄ll)ガーン」という衝撃が発生するほど、まるで別人だ。
しかし、かといって超人的な活躍をするヒーローというわけではない。ひたすら地べたを這いずり回るように捜し歩く。あまりに強引な無法刑事ぶりにはビックリだ。
他者も自分も顧みることなく突き進む様子は邦題の「野良犬」よりも原題の「デストロイヤー」の方がふさわしいだろう。自分の娘がいてもその関係は完全に壊れている。
そんな風になったのは、過去にFBIと組んだ潜入捜査で致命的なトラブルが起きたためである。長年経っても彼女はその失敗を忘れられず片を付けようとする。
彼女が常に内心に怒りを抱いているのは恋人を殺した犯人に向けてか、それとも破滅へと誘った自分自身へなのか。彼女にも分からないようだ。
一方で、回想の中のニコールの姿は美しくてその落差がスゴイ(!o!) NHKでやってたトム・クルーズについてのドキュメンタリーで若い頃の彼女が回顧映像に登場するが、その時よりも可憐に見える。特に男を悪事に誘う時の青い眼が美しい。
その行き着いた果て、終盤の展開にはあっと驚かされた。これまた衝撃である。某有名監督の初期作品を思い出した。(タイトル出すとネタバレになりそうなのでヒミツ)
ただ、さらにその後の雪山のくだりは取って付けたような気がしなくもない。
何より彼女の怪激演が突出し過ぎてて、映画の他の要素が追い付いていないのではと思った。それと主人公の無法度があまりにひどくて観客が置いてけぼりになってしまいそうだ。
おかげで彼女は2018年のゴールデン・グローブ賞にノミネートされた(受賞したのは『天才作家の妻』のグレン・クローズ)。
セバスチャン・スタンは登場時間の割には儲け役である。ファンは要チェックだろう。
クサマ監督にはぜひマイクル・コナリーの女刑事もの『レイトショー』の映画化(またはTVシリーズ)をやってもらいたいもんである。
ところで2018年の映画が2年経って今さらのように日本で公開されたというのは、新作米国映画が入って来なくなったせいなのかね(?_?)
まだ隠し玉があるのならさっさと出してくれ~👊
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