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2021年4月29日 (木)

「イタリア~狂熱のバロック歴遊」:上野の森にナポリ弁が朗々と響くのだ

210429 東京・春・音楽祭2021
演奏:西山まりえほか
会場:旧東京音楽学校奏楽堂
2021年4月17日

昨年は中止の憂き目にあったが、今年はコロナ禍でもなんとか開催となったハルサイ。都知事からは都・県境またいで移動することへの自粛要請出てたけど、聞きに行っちゃいました~(^▽^;)

西山まりえが企画構成、解説、さらにチェンバロとバロック・ハープを演奏--と大活躍のプログラムである。17世紀初頭のイタリアバロックが中心でディンディア、モンテヴェルディ、A・スカルラッティの歌曲と共に同時期の独奏曲・器楽曲を挟むという構成だ。

声楽担当は藝大教授の櫻田亮で、熱ーい⚡イタリア魂を感じさせる歌唱だった。
モンテヴェルディ定番「これほどに甘い苦しみが」をチェロ懸田貴嗣サポートで歌った後には、器楽も勢ぞろいで「オルフェオ」の抜粋あり。

そして白眉の一曲はラストのスカルラッティ「愛の神、このろくでなしめ!」だろう。西山氏が演奏前に曲の内容を解説したのだが、いちいち「櫻田教授の解釈によると~」と付けて責任転嫁(?)するので場内爆笑💥
なんでも超が付くぐらいのバリバリのナポリ弁で、漁師が野菜売りの娘に恋をして口説こうとするも無駄な努力に終わるという歌らしい(最後に娘からの返答付き)。当時の宮廷では大笑いして聞かれたとのこと。
イタリア語もナポリ弁も分からないので、櫻田教授の熱唱が完全には理解できないのが残念無念であった。
次に歌う機会があったら是非字幕を出してほしい(^^;

さて、実は「旧」が付く方の奏楽堂は初めて行った。内装のデザインは凝った装飾が付いていている。結構残響は少ないようだ。市松模様配置の座席なので快適だった。
上野公園内の植え込みにはちょうど白いシャガの花がいっぱい咲いていて、とてもきれいだったですよ。


ところで「ナポリの漁師」といえば--思い出すのは映画『マーティン・エデン』の主人公である。彼が恋するのは野菜売りどころではない、ブルジョワの令嬢である。まあ、周囲からどんな風に思われていたことか……。実際、彼は「君は笑いものになっていたぞ」と忠告されるのだ。

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