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2021年5月16日 (日)

「ブラックアンドブルー」/「21ブリッジ」:白黒は決着つかず

210516a「ブラックアンドブルー」
監督:デオン・テイラー
出演:ナオミ・ハリス
米国2019年
DVD鑑賞

言うまでもなくブラックは肌の色でありブルーは警官の制服の色を示す。
故郷の街の役に立ちたいと戻ってきたアフリカ系新人女性警官は、警察と住人の対立の最前線に立たざるを得ない。そして昔の友人からは敵扱いされるのだった。
双方に付くことは不可能、どちらかの立場に取らばならないと忠告されて納得いかずモヤモヤしているうちに、身内の警官の不正と犯罪を目撃してしまう。

--と言うのが発端で、警察署と悪徳警官とギャングのボスから追い回される羽目に。一方、出会うストリートの住民は敵意か無関心、どちらかしかなくて助かる手段は全く見つからない。
ひたすら逃げ回る前半は手に汗握り、サスペンスとして面白かった。追い詰められてどうするかという所ではアクションも見せ場だ。ナオミ・ハリスは熱演である。

ただ見終わって思い返すとつじつまの合わなかったり適当なところもあったなあ(;^ω^)
脇役、特にゲーム少年をもう少し活用する筋立てにすればよかったのでは?とか、ギャングのボス簡単に人を信じてお人好し過ぎじゃないのか……などなど。まあ色々出てくるけど見ている間は気にならないからいいよね🆗

主人公はあくまで行動の人なので黒と青の両者の狭間での葛藤が少ないのは、ちょっと物足りない気もした。
それとガンアクションの最中に、倫理的な問題について理屈っぽい討論をするのは何とかしてほしい(^^;

もう一つの特徴は警官のボディカメラや住民のスマホ映像を多用していること。思わずG・フロイド事件やBLM運動を想起してしまうが、米国での公開はそれよりずっと前で、まるで予見していたようだ。
黒人街の雑貨屋で非常ボタンを押すと、まず店員自身が不審者として犯人扱いされて警官から脅される--この場面は非常に恐ろしい。やってられない気分になること請け合いだろう。

ということで、作りはB級以上A級未満だが、見る価値は大いにあり。


210516b「21ブリッジ」
監督:ブライアン・カーク
出演:チャドウィック・ボーズマン
中国・アメリカ2019年

米国公開時には今一つパッとしない評価&興収だった作品だが、「C・ボーズマン最後の主演作❗」みたいな宣伝文句を出されては見ないわけにはいくめえよ。

事前の印象だと、てっきり切れ者のボーズマン指揮する警察によってマンハッタン島が封鎖され、その中で逃げ場を失った犯人が「あ、この橋もダメ、あっちもダメだ」とジタバタする頭脳戦サスペンスかと思ったのだが全然違った。

ドラッグ争奪事件に端を発する派手な銃撃戦、カーアクション、逃走追跡劇などが立て続けにてんこ盛りで繰り広げられ、その合間にストーリーが挟まって進行するという印象である。
犯人二人組の設定や描写は良かったけど、開始後10分で私のようなニブい人間にも早々に真相が想像できてしまうのはなんとしたことよ。特にとある人物が最初から怪しさ大爆発💥である。もう少し隠す努力をしてほしい。

それからタイムリミット設定が生かされていないのもなんだかなあであった。銃撃戦については撃った弾丸が多けりゃ出来が良くなるわけではないと敢えて言いたい。

とはいえボーズマン最後の雄姿(アクション物での)を目に焼き付けておきたい人には推奨である。「疲れている男」という設定の役だけど確かにやつれているのよ(T^T)


以上、2作とも警察組織内の似たような不正を描いているが、他の映画やドラマでも見たことがあるので、恐らく実際に起こった事件を参考にしていると思われる。米国の作品はこういうの積極的に取り上げるのが常らしい。

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