「アメリカン・ユートピア」:踊れば絶望歌えば希望歩く姿はエネルギッシュ
監督:スパイク・リー
出演:デヴィッド・バーン
米国2020年
D・バーンやトーキング・ヘッズの音楽はどうも苦手な部類であまり聞いてこなかった人間である。しかし評判がいいので見に行った。
元々はブロードウェイのショーとして高い人気で、それをスパイク・リーの監督で収録したとのこと。劇場に客を入れた状態で撮影していて、コロナ禍前に行なったらしい。(再演するはずだったが中止になったとか)
ほとんど装飾がない壁に囲まれたステージに、バーンの他に11人のミュージシャンが曲によって出たり入ったりする。うちパーカッションが6人もいるという編成だ。
自由自在に動き回る--といっても完璧に振り付けが決まっていて、演奏しながらのその動きは素晴らしい。相当にリハーサルやったんだろうなと思える。その隙のない完成度に圧倒される。
何より60歳代後半のはずのバーンが息切れもせず歌って踊って曲間に喋って楽器も弾く大活躍だ。恐るべきエネルギー⚡
合間のトークで、友人たちから「口パクでは?」「録音じゃないの」と尋ねられたという話をしていたが、そういう疑惑が出ても仕方ないと思えるほどだ。
ファンならずとも後半は立ち上がって飛び跳ねたくなるのは必至だろう。
衣装・照明もシンプルだが極めて効果的だった。
S・リーの考え抜かれたカメラワークは素晴らしいものだけど、時折「ここは引きで見たいな」と思ったりもした(^^ゞ
ただ、明らかに舞台の上にカメラが乗った映像もあるので、そこは後撮りだろうか。ステージ前の観客を見ると少なくとも2日間分を編集しているようだ。
やはりナマでも見たい(聞きたい)ぞと思った。
バーンの歌詞は寓意的でありネガティヴにもポジティヴにもどちらでも解釈できる訳の分からなさに満ちている。本人が「ロード・トゥ・ノーホエア」について高校生の合唱したのを聞いたらすごく明るく思えたというようなことを語っていたが、映画『未来を乗り換えた男』で使われた時は非常に絶望的な内容に聞こえたものだ。
今日は希望。でも、明日はどっちに転がっていくのだろうか。
それから選挙について語った部分では「大統領選は50%以上の投票率なのに、地方選挙だと20%」と言っていて、米国も日本とあまり変わらないんだと妙なところで安心した。(安心して……いいのか💦)
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