「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」:主役はどっちだ?
監督:シャカ・キング
出演:ダニエル・カルーヤ、レイキース・スタンフィールド
米国2020年
DVD視聴
アカデミー賞5部門候補になり2部門獲得!なのによもやのDVDスルーとはどうしたこったい(!o!) 『プロミシング・ヤング・ウーマン』も同じく5部門候補で、獲得したのは一つだけでも公開されたっていうのにさっ💨 やはり黒人が主人公だと敬遠されるのかね。
などと文句を言いつつツ●ヤの新作棚から早速借りてきた。
60年代末の米国シカゴ、ブラックパンサーの州支部に若干21歳で頭角を現した若い幹部がいた。FBIは危険人物としてマークし、ケチな車泥棒で捕まった男をスパイとして内部に送り込む。
教養豊かで演説がうまく統率力あるハンプトンという人物と運転者役で潜り込むオニールを、『ゲット・アウト』コンビであるD・カルーヤとL・スタンフィールドがそれぞれ対照的に演じる。
ハンプトンは投獄された挙句、最後には謀殺されるのだから確かに「救世主」と「ユダ」に違いない。さらに「ユダ」の後日譚もまた……。
ただ予想に反して、この二者が直接に親密な関係を示す場面は少ない。あくまで近くにいながらも部下の一人である。リーダーたるハンプトンに対し、オニールは側にいる脇役でしかない。両者の共通項は「裏切り」の実行者と被害者ということだけだ。そのことが後者の目を通して冷静に描かれる。
従って国家による犯罪が堂々と行われるというショッキングな内容とはいえ、人間関係の盛り上がりとドラマ性を求める人にはやや物足りなく感じられるかも。
演説場面に見られるように、卓越したカリスマをカルーヤはまさに熱演している。一方、スタンフィールドは裏切りの泥をかぶって生きるしかない男の卑小さを演じ、甲乙つけがたしである。
ここで、誰もが思うであろう疑問💣 この二人が揃って各賞で「助演」男優賞候補というのはなんでなの? どの部門に該当するのかは映画会社の方で決めるらしいが、この年の「主演男優」はC・ボーズマンに決まっているから勝てないと考えて二人とも「助演」にしたのだろうか。
アカデミー賞では二人とも同一部門ノミネートで、結果カルーヤが獲得した。通常だったら彼が「主演」でスタンフィールドが「助演」のダブル受賞もあったかもしれないのに、割を食ってしまったといえる。
他にFBI役ジェシー・プレモンスもよかった。
ところで、アカデミー賞授賞式後の記者会見で、カルーヤは他作品でノミネートされていたレスリー・オドム・ジュニアと間違えられて質問されたという非常識な事件が発生したらしい。
世評では「よく怒らないでガマンした」ということだったが、ここでブチ切れると「だから黒人は……」とか言われちゃうんだよね。つらい(=_=)
さて、ブラックパンサーというと「危険」⚡「過激」💥「暴力」👊というイメージが思い浮かぶ。しかしここに描かれているFBIの策謀を見ていると多分に情報操作があったのだろうと思えてくる。真実はどうだったのかね。
それとハンプトンは『シカゴ7裁判』にも登場していた知ってビックリ(◎_◎;) ちゃんと役名がクレジットされているではないの。最初だけ共同被告になっていた黒人の支援者で、傍聴席にいた人物だろうか?(よく覚えていない)
そういえば、マルコムXの場合も護衛係が密告者だったはず。至る所にスパイあり、だ。
もっともこういう手法はFBIに限らずどこの公安警察も使用するもののようだ。日本でも組合や学生運動盛んな時代はスパイを送り込んでいたらしい。どの集団だか忘れたが、確かナンバー2にまで上り詰めた例もあった。こうなると組織の乗っ取りである。
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