「グリード ファストファッション帝国の真実」:ローマは安価にして成らず
監督:マイケル・ウィンターボトム
出演:スティーヴ・クーガン
イギリス2019年
英国に実在するファストファッション経営者をモデルに、虚飾以外に何もない男をブラックユーモアで描いている。イギリスでは有名な人物らしいからこの映画の存在自体、スキャンダルの一端と言えるかもしれない。しかも実際に彼の部下だった人物が出演していたりする。
若い頃から既に傲岸不遜にしてあくどいやり口で資産を増やしていく。これを果たして経営と呼べるのであろうかと言いたくなるレベルだ。
富を築いてからは『グラディエーター』の台詞をいつも口にして、自分をローマ皇帝に模した誕生日パーティーを開こうとする。もっともその計画は非常にいい加減だ。
母親がまた強烈な人物で、元妻や娘はまるでリアリティショーのセレブ家族のように振舞う。見ててバカバカしいことこの上ない。
そして、並行してファッション業界の東南アジアを中心にした搾取的な労働の告発に至る。
--というのはいいんだけど、ウィンターボトム監督の作品っていつも中途半端な印象なのだが本作もそうだった。つまらなくはないのだが(ーー;)
強欲な人物のブラックなドタバタ劇にするのか、ファッション産業に内在する搾取の社会的な告発にするのか、疑似ドキュメンタリーの形式を取るなら取るで一貫してほしかった。
主役のS・クーガンはバカバカしい人物をうまく演じているけど、あまり報われていないように思えた。
ところでパーティーに来てたキース・リチャーズは偽物だよね? かなり辛辣なボノへの告発があったけど本気かな。
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