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2021年12月11日 (土)

「アイダよ、何処へ?」:敵と共に生きる

211211 監督:ヤスミラ・ジュバニッチ
出演:ヤスナ・ジュリチッチ
ボスニアヘルツェゴヴィナ・オーストリア・ルーマニア・オランダ・ドイツ・フランス・ノルウェー・トルコ2020年

またも辛い映画を見てマスクを涙で濡らしてしまった(;_:) 歳取って涙もろくなったのかしらん。
舞台はボスニア紛争時の都市。安全地帯のはずの町にセルビア軍が乗り込んでくるが、国連は何も手を打たない。一応、武力行使はしないと約束のポーズはしているものの、彼らを怖れた何千人もの住民が国連軍の基地めがけて逃げてくる。(実際、市長などは早々に殺害されている)

現地で雇われた女性通訳の目(と耳)を通してその恐ろしい事件の一部始終が描かれる。見る前の予想と異なって、国際紛争問題を大局的に捉えるというのではなく、あくまで自分の家族を救おうとする彼女個人の視点を通して全てを見ている。そして彼女と共にカメラが疾走する。
しかし昔の教師時代の教え子が敵の武装兵士になっているのに出会うのは怖いのう。

セルビア軍にいいように手玉に取られる国連軍。結果は選別、排除、殺戮……。
かつてのユダヤ人虐殺はもちろん、現在のアフガニスタンをも想起させてウツウツしてしまう。基地から撤収が始まった時に、現地スタッフの彼女に向かって「行けるのは本人だけ。家族は連れていけない」という通告もアフガンと同じじゃないですか(>y<;)

今もなお禍根を残す事件について、監督は相当の剛腕&大胆さである。公開後、主演の夫婦役を演じた役者(セルビア人)たちは自国で非難されたらしい。
ただ、前に公開された監督作『サラエボ,希望の街角』も見たけど、それと同じく希望のある結末になっていたのがよかった。思わずホッ(^。^;)とした。


この時に予告で『皮膚を売った男』をやっていた。これで『アナザーラウンド』『少年の君』『コレクティブ』、この「アイダよ」と昨年のオスカー国際長編映画賞候補作が全て公開されて洋画ファンとしてはメデタイ限りである。

*一部、事実と異なった部分を訂正しました。

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