映画落穂拾い2021年後半編その3
★「TOVE/トーベ」
監督:ザイダ・バリルート
出演:アルマ・ポウスティ
フィンランド・スウェーデン2020年
トーベ・ヤンソンの半生を描く伝記もの。世評がよかったんで大いに期待して行った。実際見てみるとウムムム……(=_=)であった。
映像のセンスや編集、音楽の使い方、役者も良し。でも結局「ムーミン」関連作品を彼女自身がどう考えていたのかはよく分からない。
とりあえず人気が出て金を稼げるとか、やっぱり絵画が本業と思ってたのかね。
思い出したのは『ミス・マルクス』である。「父の娘」という点が似ているし、踊りまくっちゃう場面が出てくるのも同じ。業績よりも私生活の恋愛話に重きを置いているという部分もだ。
ヤンソンは熱情が過ぎて重苦しくなるタイプのように思えた。
昔の女は父(特に業績を残している人物ならなおさら)の権威というものが大きくて、苦労せざるを得なかったのだなあ、と見ていてため息が出てしまった。
だが実際は母親も画家として影響を多く与えたとのことである。この奔放なクリエイターにまつわる虚実混ざった一編と考えた方がいいようだ。
★「声優夫婦の甘くない生活」
監督:エフゲニー・ルーマン
出演:ヴラディミール・フリードマン、マリア・ベルキン
イスラエル2019年
TV視聴
ソ連国家崩壊寸前に声優のユダヤ人シニア夫婦がイスラエルに移住をする。当時こういう人は多かったらしい。
といっても様々な苦労があった。なにしろかの地は約束された夢の国ではなく、ガスマスクが配布されるような常に臨戦態勢の国家だったのだ(!o!)
加えて「夫婦の危機」「声優稼業」「映画愛」などのテーマをドッキングしてユーモア含みで展開する。
しかしそれ以外の要素は過去にあったネタをつなぎ合わせたんじゃないかという疑念が巻き起こる。「こういう話どこかで見たな」「元ネタあり?」みたいな既視感満載である。つまらなくはないけどさ。
最後は突然「やはり映画を愛す」みたいな話に回収されちゃって、これでいいんですかっ!?
まあ、奥さん役がキュートだから全て大目に見よう(偉そう(^^;ゞ)。90分強という長さがちょうどいいような内容である。
それにしても、ソ連からの移民相手専門のビジネスが成り立っているというのに驚いた(人数が多かったからかな)。
★「カムバック・トゥ・ハリウッド!!」
監督:ジョージ・ギャロ
出演:ロバート・デ・ニーロ、トミー・リー・ジョーンズ、モーガン・フリーマン
DVD鑑賞
堂々3人のベテラン俳優を揃えた本作、見てて思ったのは「これって出演料と釣り合うのかしらん💨」であった。
ストーリーだけ取ればドタバタ喜劇である。しかし人情もので泣かせの感動作、映画ファンには受ける映画製作ネタ、さらに古き良き西部劇への哀惜という要素を加えた挙句、そのどれにも足らずという結果になっているではないか。
演出のせいか脚本のせいか、1974年という時代背景も生かせず迷走という言葉が浮かぶ。やっぱりプロデューサーのせいかな(^^?
正直、エンドロールにフェイク予告が流れる『殺し屋尼さん』の方を見てみたい。(主人公たちが作って世のヒンシュクを買ったというB級アクションもの)
映画ネタならなんでも受け入れる心優しい映画ファン向け。
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