いつまでもあると思うな!親と岩波ホール
昨日1月11日の午前、岩波ホールの「2022年7月29日(金)を以て営業終了のお知らせ」がSNSで広がり映画ファンを震撼させた。
昨年初めに改装工事をしたばかりで(ついでに1階のチケット売り場もなくなったが)予想だにしなかったことである。
物理的には神田神保町にある200席ぐらいの単館ロードショーのホールであるが、他所では絶対に取り上げないような製作国や内容の作品を公開した(初期だとサタジット・レイやワイダなど)。ここで上映された後に各地のミニシアターに回っていくので、一地域の映画館ということだけでなく影響は甚大だろう。
近年ではワイズマンの『ニューヨーク公共図書館』が結構なヒットをしたはず。その後地元のミニシアターでも上映されて客がかなり入っていた。
ただ問題は観客の年齢層の高さ。40・50歳代はまだ若手✨みたいな感じである。どの映画か忘れだが、見まわしたら40代ぐらいの人が二人ぐらいいるだけで、あとは年寄りばかりということがあった。
それと最前列以外は必ず前の客の頭がかぶってくるという座席の構造もツラい。元は多目的ホールだというから仕方ないとはいえ。従って最前列はいつも早い者勝ちの争奪戦であった。
高齢者が多いといっても、渋谷のル・シネマあたりとはいささか客層が異なるという印象だった。じゃあどこと同じかというとウムム……ポレポレ東中野か? いや、あそこは若いお客さんも多いですが(^▽^;)
そういやル・シネマも長期休館に入る予定……。
なお最初に私が行ったのは1977年『惑星ソラリス』である。その後あまり縁がなかったのだが(B級アクションやSFものが好きだったので)、2010年代に入ってからは行くことが多くなった。
『ヴィオレット』『静かなる情熱 エミリ・ディキンスン』『女の一生』あたりはよくぞ上映してくれたという印象だ。
ここは客の入りに関係なく最初に決めた期間は上映し続けるという方針らしいが、『ヴィオレット』なんか上映が始まったばかりの頃に行ったのに客が少なくて「大丈夫か!?」とドキドキしてしまった(;^_^A
『女の一生』に至っては見せてくれただけでオンの字だ。同じステファヌ・ブリゼ監督の次作『アット・ウォー』は某Kフィルムが買って数回特集上映しただけ。その後お蔵入りという状況だもんなー。(折角字幕付けたのなら見せてくれよっ👊)
終了の原因はコロナ禍で高齢者が来なくなったということである。でも確かにコロナ禍もあるだろうけど、ここ数年の傾向として中高年以上の客層が大きくなってきたため、岩波ホール以外でもその世代向けの作品上映に力を入れてきてパイを取られてしまったという可能性もあるのではないか。(あくまでも勝手な推測) もっとも、映画館の経営とは全く別の方面から閉館が決められたという一部報道がある。
『ナポリの隣人』(2019年上映)なんかモロに高齢者向けの親子感動もので別に他の映画館でかかっても不思議ではない内容だし、しかも出来があまりよくなかった。
私が最後に行った『ペトルーニャに祝福を』(昨年6月)は北マケドニア映画という点では他館ではやってくれそうにない。しかし実際見てみると『ブックスマート』を支持するような若い女子にウケそうな話だった。どう見てもシニア向けとは違う。
でもいくら若い世代向けに宣伝しても岩波ホールじゃ見に来ないだろう。難しいもんである。
というわけで最後の10年ぐらいしかお世話になってないけど、閉館は残念の一言であります(+_+)ゝ
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