「スパニッシュ・ハープと奏でる古のスペイン」:思わぬところで古楽界の先達を知る
演奏:ラ・フォンテヴェルデ
会場:近江楽堂
2021年12月27日
2021年最後に行ったコンサートだった。
鈴木美登里と4人の男声陣、そして伊藤美恵演奏のスパニッシュ・ダブル・ハープ(初めて見た聞いた)によるスペイン歌曲特集である。
主に民謡・俗謡を元にした作られた世俗歌曲で、ストレートな恋愛歌あれば何やら意味深な曲もあった。曲によって一人背後から歌ったりなど変則的に位置を動かしていたが、この会場だからこその効果だろう。
そして、様々なタイプの曲を独唱そして合唱と自在に歌えるのは芸達者なメンバー揃いゆえでもある。
ハープはスペインでは人気のあった楽器だったとか。その弦の音は力強くかつ美しく、5人の声は近江楽堂の天井を揺るがさんばかりだった。
ホアン・バスケスの「私の愛しい人」というのは恋愛を歌った曲だが、何やら宗教曲のように5人の合唱が完璧にキマっていた🎵
「カッコウ」という曲では明らかに寝取られ亭主が歌われているんだけど、この鳥はそういう象徴なんですかね(^^?
時節柄クリスマスにちなんだような曲もいくつか歌われた。中でもラストに歌われた「リウ、リウ、チウ」は「ウプサラの歌曲集」(1556)からというクレジットがあるけど、私には耳になじみのある曲だった。
なぜかというとカナダのシンガーソングライター、ブルース・コバーンが1993年に出したクリスマス・アルバムに入っていて、何度も繰り返し聞いていたのだった。このアルバムにはスタンダードなクリスマス・ナンバー(「きよしこの夜」とか)が収録されているので、てっきりヒスパニックの間で今でも歌われてる曲なのかなあなどと漠然と思っていた。
が、家に帰ってこのアルバムにある彼の英語のコメント(輸入盤なので)をよくよく読んでみたら大違い(!o!)
録音するにあたり彼が歌詞を確認したら、スペイン人の友人にもよく分からない古い言葉や辞書にもない言葉だったとあるじゃないですか。(その後に歌詞の大意が数行書かれている)
で彼が何からこれを知ったのかというと、1970年代始めに「ニューヨーク・プロ・ムジカ」というグループが出したアルバムを聴いたのだという。調べると、ニューヨーク・プロ・ムジカは1950年代に結成された古楽グループとのこと。そんな昔からやってた人たちがいたんですな。
私は近江楽堂はこの日で聞き納めだった。あくまで休館とのことなので、なるべく早い復活を願っています(ー人ー)
ちゃんと復活してくれるよね……💧
代わりとなる小規模会場というと、スペース415(行ったことない)、霞町音楽堂、ムジカーザ、松明堂(東京からは行きにくいだろう)、日本福音ルーテル東京教会、ルーテル市ヶ谷センターあたりかな。
近ければいいけど、遠い所は遅い時間の公演は避けるかも。
いずれにしろ、我が古楽ライフは大激変であ~る。
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