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2022年3月 5日 (土)

映画落穂拾い2021年後半これでラストだ編

落穂拾い感想についてはこれで2021年鑑賞分はようやく最終となります。(1本立てはまだまだ続くよ💦)

220305a「リスペクト」
監督:リーズル・トミー
出演:ジェニファー・ハドソン
米国2021年

アレサ・フランクリンの伝記映画--といっても描いているのは半生のみ。少し前にドキュメンタリーとして公開されて評判となった教会でのゴスペル・コンサート、その再現がクライマックスになっている。

若くして歌手として注目されるも、高名な牧師である強圧的な父親から逃れた先はダメ男なDV夫であった……というのは才能ある女の宿命なのか。
それに反するように、女の自立と団結が曲で歌われる。その時々の境遇や信条にふさわしい歌をうまく当てはめて使用されている。
さらにJ・ハドソンの熱演&熱唱と、父役のF・ウィテカーのサポート演技が光る。

音楽関係の場面も見どころが多い。最初の録音のスタジオでのどうにもうまくいかない雰囲気。
そしてよく知られるマッスル・ショールズ録音場面は、これまで伝え聞くのみだった。それが、これまた有名な(?)殴り合いシーンも含めて実際に目にできる嬉しさよ✨である。

ただ、ちょっとたるみを感ずる部分もあった。ハドソンの声はやはりアレサ本人とは違うなーと思ったり。でも歳を取るにつれて貫禄の付いた歌い方にしていくような小技は、さすがと言える。

映画のラストは30歳ぐらいだっけ? その後も色々と紆余曲折あったはず。なにせ私が初めてラジオで彼女を聞いたのは、さらにこの数年後である。ライヴ場面で盛り上げて終わりとしちゃうのは最近の流行りのようだ。

帰宅してミュージック・マガジン誌のアレサ特集を掘り出してみた。テッドについては「ほぼ女衒」と書いてあって、そりゃ大変だ~💥


「悪なき殺人」
監督:ドミニク・モル
出演:ドゥニ・メノーシェ
フランス・ドイツ2019年

「藪の中」だと事前に聞いてたが、そうではなくて人物ごとに同じ事件の経緯を繰り返して最後に玉ネギをむくように真実が明らかになるという仕様だった。そこには「幻想の愛」という一つのテーマがある。

そこで「予想もつかなかった」「そう来たか!」と感心するのか。それとも「いくつかの話を無理につなげただけじゃないの」「なんだかなあ」と思っちゃうか。人によるだろうけど、私は後者だった。
どうもフランス流のユーモアは苦手かも。

冒頭のヤギの場面はいつの時点なのか結局分からなかった。(最後の最後なのかな)
なお、犬を熱愛する人には鑑賞をオススメできません。


220305b「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」
監督:トッド・ヘインズ
出演:マーク・ラファロ
米国2019年

マーク・ラファロがプロデューサー兼主演で大企業を撃つ❗といった趣な、実話を元にした映画である。

「テフロン」加工で有名なデュポン社による環境汚染と健康被害の責任を追及した実在の弁護士が主人公だ。係争は長期にわたり未だ継続中である。
普通ならばドラマチックに盛り上げそうだが、そうはならずに淡々とした語り口だ。
事件に関わることによっての逡巡や悩みがジリジリと続く。それは勇壮なヒーロー像とは異なるものである。敵はあの手この手を繰り出し、現実の闘いはスッパリと終わらない。

ラファロは惑う男を演じて、演技賞ものであった。ティム・ロビンスも忘れちゃいかん。ビル・プルマンは見て最初分からなかったですよ(;^_^A

見ていて複数の日本の公害事件を思い出さずにはいられなかった。従業員に対して事実を隠して工場内で人体実験を行うとは、人間のやることではない(>O<)
ここでも出た!膨大な箱詰め文書。それにしても文書が残っていることは大切である。

……のではあるが、昔CNNで耳にした(別の作品の)映画評のフレーズ「ためにはなるが旨みのない、自然食のような映画です」というのを思い出してしまったのも事実。身体に悪いものも食べたくなっちゃうのよ~🍔

ところで、舞台のウェストバージニアって米国内でどういうイメージなんでしょうか?

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