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2022年4月

2022年4月28日 (木)

「レイジング・ファイア」:香港アクションは不滅です!

監督:ベニー・チャン
出演:ドニー・イェン、ニコラス・ツェー
香港2021年

最近ではクライム・アクション、サスペンスの類いも香港より韓国映画の方が勢いが出てきていて、もはや完全に優勢になってきたのではと思っていた。
しかし間違いであった。お見それしましたっm(__)m

警部と元部下の対立、その原因となった過去の事件を背景に、ありとあらゆる種類のアクションてんこ盛りだ。ショッピングビルから狭い室内まで各種銃撃戦、スラム街の乱戦、下水道チェイス、さらに派手なカーアクション。
派手な爆弾事案があれば「ヒート」ばりの市街戦。これでクライマックスだ~っ--と思ったらまだまだ続くよ格闘肉弾戦。一年分のアクションをこれ一作で堪能した気分ですっかり満腹気分である。ごちそうさまです( ̄ーA ̄)フキフキ

さらに警察内部の不正&忖度がからむ。組織の大義名分と個人の正義との相克をどうするか、答えはあるようで無い。
そこに今の香港の状況への作り手たちの思いが浮かび上がってくるようだ。

ドニー・イェンのお肌がニコール・キッドマン並みにツヤツヤしているので、思わずスクリーンをガン見してしまった(^^;
ニコラス・ツェーの大胆にして神経質な悪役はお見事であった。
なお監督はこれが遺作とのことである。
爆音上映でもないのに、映画館の音が大きすぎてマイッタ。デカけりゃいいってもんじゃないのよ💢

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2022年4月26日 (火)

東京・春・音楽祭2022 ミュージアム・コンサートを聞く

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今年も恒例ハルサイのミュージアム・コンサートに行ってきました(^^)/
会場は3回とも東京都美術館講堂です。

「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」記念コンサート1
演奏:名倉亜矢子&永田斉子
2022年3月20日

修復成ったフェルメール「窓辺で手紙を読む女」を見ようとする人でごった返す都美術館。到着した時には既に展覧会のチケットは当日分完売の表示が出ていた。

展示場とは反対に位置する講堂は開場時間になっても人が少なく静かなもんであった。--と思ったら、以前は自由席だったのが指定席になってたのね(^^;;;
全然気づかなかった💦 危うく適当な座席に座ってしまうところだった。

プログラムはフェルメールと同時期の作曲家の歌曲をソプラノとリュートで演奏するというもの。特にオランダ人のホイヘンスという作曲家を軸にして構成しているとのことだった。
彼は王子の秘書官にして詩人、リュート奏者、作曲家でレンブラントとは知り合いで、フェルメールとは生没年が近い人物である。

登場する作曲家たちは名前も聞いたことのない人物が多かった。ヴァレという人は当時のオランダの代表的なリュート奏者だが、フランス生まれで恐らくプロテスタントであるためにオランダへ行ったとか。なかなか聞けない曲がほとんどで貴重な機会であった。
ホイヘンスがフランス志向がありパリで楽譜を出版したということで、ランベールの歌曲でラストとなった。

空気の乾燥のせいか名倉氏の声の調子がベストではないように思えた。そうでなくとも残響のない会場で歌うのは大変だ~⚡
リュートも音は明確に聞き取れるものの、潤いのない響きになってしまい残念だった。やはり会場は重要である。

この時は上野動物園がまだ休園しているのに驚いた。フェルメールの絵の行列もパンダの行列も同じぐらいだろう。激混みの美術館はよくて、220426b
なんで動物園はダメなのさ(-_-メ)


「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」記念コンサート3
演奏:上尾直毅
2022年3月30日

この日は上尾氏がフェルメールと同時代のオランダで演奏されたとおぼしきチェンバロ曲を演奏した。
探してみたけれど意外にもオランダの作曲家のものは少なかったという。当時の人は他国の曲を楽しんでいたらしい。

エウェーリンク、フローベルガー、ダングルベールなどの中で、ステーンウィックという作曲家はなんと本邦初演だそうだ(!o!)
オランダに留学していたこともあって、当時の音楽事情、宗教家より商人が強かったとか、アムステルダムの土地柄など解説話が尽きず、下手すると演奏時間より長くなるのではと心配するほどだった(^^)
アンコールはオランダ国歌。1500年代に印刷譜が出ていたそうな。

上野の桜はいい塩梅に咲いて、平日の昼間だったが人出が多かった。
宴会は禁止のはずだけど、美術館脇の芝生は閉鎖されてないのでシート敷いて飲食している人たちもいたり……(^▽^;)


220426c「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち展」プレ・コンサート1
演奏:松岡莉子&中藤有花
2022年4月6日

フェルメールの方は終了、今度は22日より開催予定展覧会のプレ・コンサートである。もはや温か過ぎで上野公園の桜はほとんど散ってました。
スコットランド国立美術館の収蔵品展ということで、スコットランドの伝統曲をケルティックハープとフィドルの組み合わせで聞くという内容。
古楽のアプローチと違ってPAシステムを使っていたし、衣装やステージマナーか異なるところなども興味深く観察したりして👀

曲目は古くから伝わる作者不詳のトラディショナル・ソングと、作曲家によって作られ民衆に愛されたスタンダード・ナンバーを織り交ぜて演奏された。主にダンス・メドレーと抒情的な曲である。
この組み合わせだとなんとなく「無印BGM」的ヌルさを予想してしまうが、ナマで聴くと格段に迫力あり。聞けてヨカッタ✨
ダンス曲は聞いていると踊りたくなるものもあり、足で拍子を取るだけで我慢した。
アンコールは「蛍の光」のオリジナル版。

ケルティックハープは伝統的な楽器で、普通のハープだとペダルで半音を変えるが、これは弦の上部に並んでいるレバーで調節するもの。従ってメドレー曲だと途中でイッキにレバーを上げ下げして操作が忙しい。
途中で小型アコーディオン風のコンサルティーナも登場。スコットランド美術館の創立とほぼ同じ1850年頃に作られたオリジナル楽器だそうである。

なお、フィドルについてはかねてから「バイオリンと全く変わらない」と聞いていたが、どうして違う名前なのだろうと疑問に思っていた。解説によると、貴族が使っていたヴァイオリンを庶民も弾くようになって区別(差別?)するために「あれはフィドルだ」と言うようになったとのこと。
そうだったのか(!o!)と激しく納得した。

ハープの松岡氏は以前スコットランドに留学していたそうな。で、現地では国立美術館は無料で入れるそうである。
一方、今回の展覧会は(^^?とチラシを見てみたら、一般券1900円ナリ💴

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東京文化会館周囲にある植え込みのベンチ。いわゆる排除アートの類いだろう。
「誰も寝てはならぬ!」という堅固な意思を感じさせる。

 

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2022年4月17日 (日)

「フリー・ガイ」:黒メガネの目覚め

監督:ショーン・レヴィ
出演:ライアン・レイノルズ
米国2020年
*TV視聴

正直あまり期待していなかったので、ロードショー時には見ないでWOWOWかツ●ヤに出てくるまで待つことにしていた一作。
ゲームネタの話らしいが、そもそも私はゲームをやらん人間だしなー。

そんなわけで期待値ゼロで見始めたのだが……

なんだよ、面白いじゃねえか~っ(>O<)

オンライン・ゲーム内で銀行員という平凡なキャラクターの男、いつも簡単に殺される日常を繰り返していたが、ひょんなことから自分がゲームのキャラクターだと自覚する。そして虚構と現実の双方で「危機」が起こりつつあることも知るのだった。

ゲームをやってる人なら色々と小ネタが分かるんだろうけど、全くゲームしない人間でも単純に楽しめた。
粗暴で巨悪なキャラクターを現実で操っている人間が全くかけ離れているのが笑える。特にチャニング・テイタム扮する強面傭兵集団ボスの実像が情けなさ過ぎ(;・∀・)

そもそもなぜ男が真実に目覚めたのかという謎解きがなるほどと納得し、発生した「恋」の行く末をどうするんだと思ったら、そういう風に解決するのかと感心した。アクションとドタバタ展開だけじゃなくて、隠しメッセージもあって鑑賞後感はスッキリ&ポジティヴだった。
終盤の目まぐるしいゲーム世界の映像も鮮やか。
平凡さを出したレイノルズは好感度高い主人公。ジョディ・カマーはゲームキャラとリアル人間の差をよく表していた。

原作のないオリジナル作品で大ヒットになるのは最近では珍しいそうである。よく出来ている。
ところで疑問が一つあり。ゲーム内の展開は毎日クリアされるが主人公の記憶だけ残っているという展開だよね。
ということは、彼は毎朝誰かをぶん殴って黒メガネを入手しているのかな(^^?
それからジョン・カーペンターの回顧上映の予告を見ててふと思ったのだが、「黒メガネをかけると真実が見える👀」というのは『ゼイリブ』が元ネタなのだろうか。

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2022年4月 5日 (火)

「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」「皮膚を売った男」:アート界の一寸先は金

220405a「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」
監督:アントワーヌ・ヴィトキーヌ
フランス2021年

「皮膚を売った男」
監督:カウテール・ベン・ハニア
出演:ヤヤ・マヘイニ
チュニジア・フランス・ベルギー・スウェーデン・ドイツ・カタール・サウジアラビア2020年

『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』はカネにまみれた美術市場を題材にした仰天のドキュメンタリーである。

突如、出現したレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画「サルバトール・ムンディ」。
なぜか米国の民家の廊下に飾られていたのが「発見」され、2005年にニューヨークの美術商が13万円で購入。「修復」して鑑定を行ったものの結果は曖昧なまま真作として公に英国の「ダヴィンチ展」で展示される。

そのまま様々な国の色んな人物が絡んで値段がどんどん上がっていく。
怪しいと判断してサザビーズが扱わなかったものを、クリスティーズが現代アート路線のような派手な宣伝をして競売にかける。
裏付けもなく確実ではないものに大金を出す。最後の落札額はなんと510億円💴
証言するのは、美術商、研究者、ジャーナリスト、オークション会社、学芸員、匿名の(モザイク入り)フランス政府関係者などなど。もはや虚像でしかない価値に振り回される様相を、ドキュメンタリーとして確実に洗い出していくのであった。

うさん臭い人物が次から次へと登場するのがたまらない( ̄▽ ̄)
『テネット』にそっくりなロシアの実業家(まさにこれが「オリガルヒ」というヤツであろう💥)も一時の所有者となる。自由港を所有してそこの倉庫に美術の収集品を保管してあるって、そのまんまじゃないですか。モデルにしたのかしらん。

結局、今あの絵がどこにあるのかは判然としないそうだ。
名作も一寸先は闇。アートの世界は奇々怪々⚡転がる絵画に苔は付かない……けどマネーは増える。もうバカバカしくて面白い。

ところで、過去に紹介した『アートのお値段』というドキュメンタリーで最後に登場するのが実はこの「サルバトール・ムンディ」だった。
これを見た時に投機の対象となる現代作品をなぎ倒して最高額を得たのがこの「古典」作品だったというオチで驚いたのだが、実は現代アート売買の手法を取っていたというのならさもあらん、である。

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さて同じ現代アートつながりの『皮膚を売った男』、こちらは劇映画だ。

シリアで迫害を受け難民となってレバノンに逃亡した男が、なんとか恋人のいるベルギーに行こうとする。その時、アーティストから奇抜な申し出を受ける。背中にアート作品としてのタトゥーをして、自ら「美術品」となってビザを取得するというのである。
もちろん、美術展で「展示」される義務など負わなければならない。

人間ならダメだけど芸術作品なら移動できるとはどういうことだろうか。現代アートと難民と自由の問題に鋭く迫る着想だ。

……ではあるが、発端は辛辣でもその後の展開はなんだかパンチに欠けている。見てて消化不良な気分になった。コメディタッチで世界の矛盾を皮肉る作品と解釈すればいいのかね。

実際に存在する(人間の背中にタトゥー)作品によって着想したらしい。その作者自身も端役で出演している。従って、現代アートの在り方にかなり親和的である。
アーティストの大半は詐欺師同然などと思っている人間にとってはやや肩透かしな内容だ。

ただ美術館のシーンなどは撮影の工夫が凝らされ非常に美しい。モニカ・ベルッチが特出。
アートの未来を躊躇なく信じられる人向け。

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