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2022年5月 9日 (月)

「愛すべき夫妻の秘密」:笑うべきドラマの笑えない事情

監督:アーロン・ソーキン
出演:ニコール・キッドマン
米国2011年
アマゾン・プライム視聴

アーロン・ソーキンの監督脚本最新作は日本では配信のみで劇場公開がなかった。米国では劇場でも上映されたが、賞レース参加のためだったようだ。
その甲斐あってか中心の3人が俳優賞にノミネートされた作品である。

個人的にはシットコム女優ルシル・ボールを主人公にした映画だというので是非とも見たかった。というのも、子どもの頃にTVで『ルーシー・ショー』は毎週やってて大好きだったのだ。また高橋和枝の吹き替えがピッタリ過ぎで、毎回欠かさず楽しみにして見ていた。もう懐かしさの極み✨だ。

しかし、アーロン・ソーキンであるがゆえにそう一筋縄ではいかない。
映画は彼女の主演ドラマ『アイ・ラブ・ルーシー』のとある回が作られる一週間を舞台にしている。昔の時代なので、スタジオに客を入れてその前で演じて生放送する。脚本の検討から放送まで、それを一週間単位で繰り返していくのである。(過程が詳細に描かれていて面白い)

その問題の一週間に「危機」は訪れた。新聞が彼女に関するスキャンダルをすっぱ抜くのかもしれないのだ。それは「赤狩り」と「浮気」である。その二つに彼女とその夫(ドラマ内でも夫婦役を演じる)の過去の総てが凝縮されている。

才能あるが型破りで映画女優としては成功できなかったルシル、キューバ移民で苦労人だがモテ過ぎミュージシャンの夫。彼らは同じ家に暮らしながら完全すれ違い夫婦生活を送っていた。
その解決法が連続ドラマでの「夫婦共演」だった。彼女はそのために努力を尽くす。しかし、その関係が突然やって来た危機の下でどうなったのか、顛末を描くという次第である。

見始めて『アイ・ラブ・ルーシー』は夫婦出演なのに、どうして私が見てた『ルーシー・ショー』では「赤毛の未亡人」だったのかと最初疑問に思ったが、そういうことだったのかい(~o~)

迫りくる新聞発表のタイムリミット、脚本と演技の細部にわたってこだわりぬいた変更に次ぐ変更。そしておなじみ喋りまくるソーキン節の登場人物たち(字幕読むのが追い付かねえ~💦)。
加えて当時のTV業界が今では考えられないようなタブーを抱えていたのにもビックリだ。「妊娠」「出産」という設定は禁止、妊婦は登場人物になれない。「年下の夫」も「キューバ人」もダメ。
それらをぶち破ったのがルシルなのである。知らなかった(!o!)
キャサリン・ヘップバーン風な常にパンツルック、恐れを知らず妥協もしない。

ドラマに登場する「ルーシー」を演じるニコール・キッドマンはあまりにそっくりなので衝撃を感じたほどだった。ウン十年も前に見たTVの印象が脳内にまざまざと蘇ってくる。特にイタリアでブドウを踏むというネタで笑いを取る場面、ああいう感じである。
他に夫役バルデム、共演者役シモンズも好演。ソーキンより完全に役者の映画だ。

加えて、疑似回想ドキュメンタリー風の語りを入れる手法はかなり疑問だった。当人たちはとっくに亡くなっていて、役者が演じているのだからなんだかなあ。
邦題は見てみると「そういう意味で付けたのか」と理解はできるが、やっぱり訳わかんないタイトルである。なんとかしてくれ💢

それにしても米国でも若いもんは彼女のこと知らないだろう。やはり映画賞の投票者の大部分を占める高い年齢層向けか。

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