「Sacrum et Profanum 聖と俗の対話」:弾いてもダメなら吹いてみよ
17世紀オーストリア至宝の器楽作品、煌めきのナチュラルトランペットと共に
演奏:アンサンブル・アカデミア・ムジカ
会場:すみだトリフォニー小ホール
サブタイトルやグループ名だけだとどういう編成か今一つ分からないが、ナチャラル・トランペット×2、ヴァイオリン×2、ヴィオラ、ガンバ、ヴィオローネ、オルガン各1というコンサートである。
トランペット奏者の人が主催者なので2本のトランペットを大々的にフィーチャーしたプログラムかと予想して行ったら、実際はオーストリア、ボヘミアの知られざる名曲紹介という趣だった。
作曲家の顔ぶれを見るとビーバー、シュメルツァーあたりなら広く知られている。しかし、本公演でイチオシとして取り上げられたヴァイヒラインとなると名前も聞いたことがない。17世紀後半に活躍したらしいが、初めて知ったぞ(!o!)てな調子である。
この三人の作曲家の作品を中心に、様々な編成のアンサンブル曲が披露された。
ヴァイヒラインのソナタ1番は奏者全員が登場して、トランペットが左右二手に分かれる。曲はその両端の二本が歌い交わし互いに絡まり合い、先行した片方を後追いするかと思えばまた逆になったり、自由自在に転がっていくような曲だった。
聴いてて目が回る--耳が回る、かな(@_@)
また、一番迫力あったのは杉田せつ子×鷲見明香によるビーバーの「技巧と愉しみの調和」第6番だった。
二人のヴァイオリンの共演、競演、驚演は丁々発止の激突で一瞬の隙もなく、火花が飛び散るが如しである。ステージ前の座席に座ってた人はヤケドしたんじゃないのと言いたくなるぐらい。思わず口アングリ状態になってしまった。
コロナ禍で行けた公演も減る中で、こんなに手に汗握る緊張感の演奏は久しぶりだった。聞けて深~い満足を感じた。
ビーバーは「ロザリオのソナタ」だけじゃないのだと再認識した。ビーバー先生、すみませんm(__)m
また一方で、フィンガーという人のガンバ曲にはしみじみとしてしまった。弦の音色が周囲の空気にじわーっとしみていく。
開演と終演の合図にトランペットのファンファーレを楽屋の方(?)に引っ込んだまま吹いたのは面白かった。
合間には初心者から通まで様々な聴衆向けの解説もあり。ヴィオローネは後の時代に、音の上の方はチェロに、下の方はコントラバスに分かれていった--とは初めて知った。また一つ賢くなりました(^^ゞ
こんなにバラエティに富んだプログラムの演奏だったのに、お客さんの数が少なかったのは残念の一言。モッタイナーイである。次回の公演にも期待したい。
唯一の難は、やはりトランペットと弦楽器の音量のバランスが難しいことだった。当時はどうやっていたのかな(?_?) 現代の中小ホールと昔の宮廷では音響はかなり違っているだろうけど。
すみだトリフォニーの小ホールは初めて行った。大ホール同様2階を歩いて行けども入口が見つからない。1階の方にあったのだった。早く言ってくれよ~。
音響はなかなかに良く、残響が多過ぎず少な過ぎず器楽アンサンブル向きだろう。ただ問題点その1は女子トイレの半分が未だに和式……(;^_^A
その2は大半の座席が勾配がないので、私みたいにチビの人間にはかなりステージが見づらい。
この日は自由席で客も少なくゆったりと--のはずだったが、開演直前にデカい奴がやってきて真ん前に座り、ずっと首を振ったり頭を手でかきむしったりしたので、かなり鑑賞妨害となってイライラしてしまった。
後ろからクビ絞めたろかと思ったですよ💢
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