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2022年8月 6日 (土)

「FLEE フリー」:真実からの逃走

監督:ヨナス・ポヘール・ラスムセン
デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・フランス2021年

アフガニスタンで生まれ育った少年が政変を逃れ、共産主義体制が崩壊したばかりのロシアに家族と共に亡命する。そんな過酷な半生を語るドキュメンタリーである。
その手法が全編アニメーションで描くというものだ(実写は当時のニュース映像が時折入るぐらい)。過去に起こった出来事は後から撮影はできないからアニメで再現するのは「あり」だが、現在の生活やインタビューの姿も恐らく一度実写で撮影したものを描きなおしている。
個人を守るためにそのような形にしたのだという。

カブールでの子ども時代、父は不在でも楽しかったけどすぐに終わりを告げる。逃亡先のロシアでの生活も恐怖と一体だ。
苦難の末、結局彼は家族と離れたった一人で異国の地に立つことになる。危険なので自分のこと家族のことの真実は話せない。虚偽で固めた「自分」を守るしかない。

あまりにつらい話が続くので見ているだけでも段々とへこんでくる気分だ。
そのような体験は大人になった彼の精神の中に暗く影を落としているのが、段々と明らかになっていくのだった。
さらに自分がゲイであることが分かったら、唯一のよりどころである家族からさえも拒否されるのではないか--この煩悶は苦しい。ウウウ(=_=)

鬱屈を抱える彼へ、最後の最後に救いが出現する。俄かにこの場面こそドキュメンタリー+アニメという手法が最も有効な瞬間となる。
いざ、過去の影より抜け出て明るい日々へ--✨


なお、誰でも鑑賞後に「おにーちゃん、疑ってすまなかった。あんたはエエ人や」m(__)mガバッと土下座したくなるのは確実であろう。

それにしても、モスクワのマクドナルド第一号店開店のお祝い騒ぎの横であんなことが行われていたとは(>y<;)

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