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2022年9月 5日 (月)

中高年洋楽ロックファン必涙🎸ドキュメンタリー「リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス」「ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック」

220906a「リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス」
監督:ロブ・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン
出演:リンダ・ロンシュタット
米国2019年

なぜか最近絶賛人気継続中(?)の音楽ドキュメンタリー映画ブーム。おかげで次々と公開が続いておりますが、リンダ・ロンシュタットのファンでもなく録音を一枚も持っていないにもかかわらず見たのであった。
リンダというと次々とヒットチャートをにぎわした曲と派手な恋愛ゴシップでしか知らなかったのだが、すみませんっ_(_^_)_ガバッ 彼女についての認識を改めた。

音楽一家に生まれ、ジャズやクラシックなど様々なジャンルに触れて育ち、やがてカントリー・フォークのバンドを組んでLAに出て注目される。ソロ歌手として独立し連続して大ヒットを飛ばす。
一方でロック界という狭い男社会の中で、他の女性ミュージシャンと協働して助け合うようにもなる。

やがてヒット路線を自ら捨ててオペレッタ、ジャズ、自らの出自であるメキシコ音楽にも挑む……という多彩過ぎる活動歴なのだった。
驚いたのは、その度にヴォーカル・スタイルを巧みに変えること。特にマリアッチの歌唱はロックなどの時とは全く異なるもので、見事にものにして堂々たる歌いっぷりである。

また、当時のインタビュー映像を見ると明確に自分の主張を言葉で表現できる人なのだと感心した。
しかしやがて病がその彼女の「声」を奪ってしまうのだった。つらい(ーー;)
現在の彼女はそれを受け入れているように見えるものの、そう簡単なことではないだろう。

インタビューには過去に共演したドリー・パートンがまず一番に登場した。この手のドキュメンタリーの多くに出てくる彼女を米音楽界のご意見番、またはお局様🌟と呼びたい。
個人的にはボニー・レイットがかなり長く話してたのが嬉しかった。
他にジャクソン・ブラウン、付き合ってたJ・D・サウザー、アーロン・ネヴィルなどなど多数登場。
ドリーを真ん中に据えた女性トリオ・コーラスのバック・バンドにD・リンドレーがいたのに驚いた。

それにしても、付き合ってる男を次々変えてもジョニ・ミッチェルだと「恋多き女」なのに、リンダだと「浮気娘」になっちゃったのはなぜだったんでしょうか(+o+)

220906b
「ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック」
監督:アリソン・エルウッド
米国2020年

今の若いモンは知らないじゃろうが、昔々ハリウッドに自然豊かな渓谷があってな。大勢の若いミュージシャンが住み着いて交流し刺激し合い、緩やかな共同体を築いておったのじゃよ。

--という、60年代後半から70年代にかけて存在した音楽コミュニティのドキュメンタリーである。当時の映像は少なく、その地を記録した二人の写真家へのインタビューとその作品を通して時代とミュージシャンを振り返る、という構成になっている。
ミュージシャン自身の回想も音声で入るが、今の彼ら自身を見せないというのが面白い。

タイトルだけだと昔のウエスト・コースト万歳ヽ(^o^)丿みたいな内容だと思えるけど、実際は世知辛い話題が結構出てきてシビアな印象である。
個性強すぎな白黒混合バンドのラブがドアーズの存在ためにヒットできず--というエピソードはロック勃興期ならではというところか。

上映時間120分て結構長いなあと思ったら、なんとTV用の1時間ものを2本つなげたそうである。なるほど……💦
で、前半60年代編はバーズ、バッファロー・スプリングフィールド、ママス&パパス、J・ミッチェルなどが登場。
しかし互いに助け合うなごやかな平和な環境はシャロン・テート事件とオルタモントの悪夢で終わりを告げる。

後半70年代編はJ・ブラウン、CSN(Y)、R・ロンシュタット。そして最後にグレン・フライが成功を渇望していたイーグルスが大ヒットし過ぎたことで、この地に引導を渡してしまう。なんたることだろうか。
当時の洋楽のファンならば一抹の感慨を抱かずにはいられないだろう。

歌詞の訳が全て字幕でついていたのがよかった💯
CSNのあの独特なコーラスはどこから生まれたのか、と長いこと疑問に思ってたけど、答えが分かって満足である。
初めて渡米したクラプトンが招待されたママ・キャスの家でジョニに出会い、彼女がギターを弾いている姿を近距離からガン見している写真に笑ってしまった。

チラシの英語で書かれたアーティスト名に、アリス・クーパーとリトル・フィートの名前が出ているのだが、登場してたっけ(?_?)

映画館内は懐かしさに涙ちょちょぎれる中高年観客多数であった。私も感慨深かったです。
もっとも私がリアルタイムで聞いてたのはこの後の時代だけど。(念為)

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