祝!パゾリーニ生誕100年「王女メディア」「テオレマ」
★「王女メディア」
監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
出演:マリア・カラス
イタリア・フランス・西ドイツ1969年
見てからかなり時間がたってしまったが取りあえず書いてみる。
自らをよくよく顧みればパゾリーニってこれまで見たことないな💦という、ふがいない映画ファンなのであーる。
ギリシャ悲劇「メディア」の映画化ではあるけど、原作のセリフを削りまくり(よく喋るのはケンタウロスのみ)あくまで映像と音を優先。作り上げられたイメージはあまりに毒気タップリ💀野蛮💥洗練のセの字もなしっ(@_@)で目が回りそうである。
私は芝居の「メディア」は過去に様々な劇団の公演を鑑賞しているが、この強烈な映画がその後の上演に影響を及ぼしただろうことは疑うまでもない。「元ネタはこれか(!o!)」と納得した。
荒れ地を舞台に原初的で残酷な生贄の儀式が描かれ、そのまま神話のメディアのエピソードへと流れ込む。
マリア・カラス扮するメディアは見るからにコワい(>y<;) イアソンに「にーちゃん、その女だけは止めておけ」と言いたくなる。でも彼は「軽薄な若者」枠なので何も考えておらずズルズルと引き込まれてしまうのだ。
ただ後半が飛躍し過ぎで元のストーリーを知らないと訳が分からなくなる状態だろう。
日本も含む世界各地の伝統音楽・衣装・美術がゴッタ煮状態で使われていて、またそのパワーが有無を言わせぬ。ロケ地の浮世離れした風景がそれに拍車をかける。
参りました~m(__)mガバッ
それにしても殺される者が必ず笑っているのはなぜなのかな。
★「テオレマ」
監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
出演:テレンス・スタンプ
イタリア1968年
長いこと一部の人々に「テレンス・スタンプが美しい✨」の一言で伝えられてきた(多分)伝説の一作。
いや、確かに彼は美しいんだけどさ……。前半、いくばくもたたぬうちに彼は消えてしまってもう登場しないではないか。その後に残るは奇跡のみか??
私は宗教に縁なき衆生の一人とはいえ、普通に解釈すれば嵐のように現れて嵐のように去っていく若者はキリストの再来であり、中心となるのはそれに触れた人々の変容の方なんだろうぐらいは分かる。
彼は退廃したブルジョワ一家の大邸宅に出現して家政婦を含む全員と関係を持つと、相手の一家の方は聖人や芸術家や寝たきりになる。中でも変貌激しいのは主人とその妻であり、全てを投げうち自暴自棄としか言えない行動をとる。
まこと金持ちが天国に行くのはラクダが針の穴を通るより難しい🚫ということであろうか。
本筋から外れるが、見てて気になったのは奥さんの行動。「娼婦になった」とされているけど、どちらかというと「有閑マダムが若いツバメを買う」という行動っぽい。いずれにしろ田舎町の側溝の中で……って、首絞められて財布と車取られたらどーするの(+o+)などと震え上がってしまった。
T・スタンプの股間に向けてグイグイ食い込んでいくカメラや、男の下着を注視するように撮るフェチぶりには笑った。
レコーダーのハードディスクの中にパゾリーニ監督作が一つぐらい沈んでいるはずなので、さらに見て修行したい。
折角の記念イヤーならば、W・デフォーがパゾリーニを演じた映画も公開してほしかったぞ。
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