「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」:継ぐのは誰か?!主役・ヒーロー・王の三位一体
監督:ライアン・クーグラー
出演:レティーシャ・ライト
米国2022年
「行った!見た!面白かった🌟」となった『ブラックパンサー』、その続編が紆余曲折の末、遂に来たっ。何が紆余曲折かというとコロナ禍もあるが、やはり主演のチャドウィック・ボーズマンが亡くなったことに尽きる。
あえて代役を立てることはせずに、シナリオを書き直したという--で、いきなり葬式の場面から始まるのだった。
主演俳優が死んだから演じていた役の方も死んだことになるとなれば、役柄の「後継者」問題も当然浮上。それも「ワカンダの王」と「ブラックパンサーというヒーロー」の二本立てだ。
そのためこの映画は虚実を超えて三つの「弔い」と「後継」が錯綜する羽目になってしまった。で、それがどうも裏目に出た感が……💦
前作のように「面白かった~ヽ(^o^)丿」とスッパリ楽しめないのは困ったもんである。なんか事前の期待が高くなりすぎちゃったせいもあるかなあ、というのが正直なところ。
新たに出現した「敵」は敵どころか本来は共に白人の植民地主義にさらされた過去を持つ。仲間同士で戦ってどうするよと思ってしまうが、同族嫌悪というヤツかしらん。
「あいつらは敵、お前は仲間のはずだろ、だから俺につけ」というのは昨今のロシア=ウクライナ情勢を想起させる。(脚本書いたのはずっと前だろうけど)
しかも海が舞台となって『○バター』か『○クアマン』か、みたいな光景が出てきてビックリだ。
160分もあるから内容のどこに注目するかは人それぞれ。だが、どの点を注目しても物足りない部分がある。
何よりもアクション映画として見てて今一つスッキリ感がない。前作ではあんなにカッコよかったオコエ姐さんも冴えなかったしな……(T_T)グスン
TVドラマシリーズのキャラクター(これから開始するのも含めて)が登場するのも、全く見ていない人間にとってはなんだかなあである。
唯一の得点ポイントはCNNのアンダーソン・クーパーが特出したことぐらいか(*^▽^*)
取りあえず幾つかの注目点の中で後継問題を考えてみた。すなわち「主役」「ヒーロー」「王」の「身体」と「地位」についてだ。
★注意!以下はネタバレモードになります★
★自己責任で読んでください(^^ゞ★
まず「主役」-上に書いた通り代役を立てることをせず脚本を変更した。つまりC・ボーズマンの「身体」はこのシリーズおいて交代不可能であり、「後継」は存在しないとしたのだ。
次に「ヒーロー」-妹のシュリがブラックパンサーを襲名したわけだが、これは「妹」だからなのか、科学者として薬草を再生できたからなのか判然としない。
他のヒーローものを合わせて見てみると、「二代目」とか「三代目」が当たり前のように登場する。
その身体はスーツや薬物、装置などで補強可能であり唯一無二のものではないようだ。つまり後継者はいずこからか出現するように思える。
最後に「王」-ワカンダの王は何もなければ血統で引き継がれるけど、各部族から挑戦者が現れた場合はタイマンで決める……ということでいいのかな(^^?
他の人の感想で「なんで王の座を原始的な決闘で決めるのか」というのを複数見かけた。確かに科学技術が発達したワカンダのイメージにそぐわない。(ただし今回、伝統を重視し過ぎて旧弊だという設定が出てきたが)
肝心な王位を非近代的な(に見える)力ずくの決闘によって決めるということは、逆に言えば血統よりも個人の身体性を重視していることでもある。
「主役」唯一無二の身体。代替不可能ゆえ後継者なし。
「ヒーロー」自薦他薦にしろ後継者は出現。身体性は引き継がれる。
「王」血統より身体優先で決定。
全てのレベルで身体が重視されていることになる。
逆から見れば「主役」を殴り合って決められないからこそ、ボーズマンの代役は立てられなかったのである。
ということで、この三者は現実と虚構を飛び越えてゴッチャになって、互いにねじり合い絡み合っているのだ。
さてここで作中に戻って、問題なのはシュリはヒーローはやる気があるけど王はやる気なしで放棄したいようだ。(ラストのエムバクの言動だとそうなるよね)
となると、エンドクレジットの途中で登場するあのシーンが大変だ~⚡
先々代の王に隠し子が(!o!) しかもお子ちゃまだけどなんだか王様やる気満々。どうするシュリよ。てな感じで、次はお家騒動になるのか。さらにはブラックパンサー襲名問題まで発展するのだろうか。
なんにせよ、段々とどうでもいい感が増してくるのであったよ(ーー;)
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