「この父ありて 娘たちの歳月」
偉大な父を持ち多大な影響を受けて意に従う、いわゆる「父の娘」案件というのがある。このタイトルからそれについての本かと思ったらそうではなくて、「書く」ことで広く名を知られた9人の女性とその父についてのノンフィクションであった。この娘にしてこんな父(と家族)がいたんだ❗❗という内容だ。
冒頭一人目は渡辺和子……ってそもそも誰よ(?_?)と思ったら『置かれた場所で咲きなさい』の人だった。
父親は二・二六事件で襲撃された陸軍の将官である。かなり地位の高い人物だ。自宅で深夜に軽機関銃で銃撃の上で殺害された。それを幼い頃に同じ部屋で寝ていて間近で目撃したのである。壮絶な体験ではないか。そういう背景のある人物とは全く知らなかった。
同時代に生きた詩人である石垣りんと茨木のり子の章が続いて掲載されているが、作品からは読み取れない対照的な生涯が興味深い。
そして、萩原葉子からラスト石牟礼道子の章の流れに至っては読んでてギャー😱と叫びたくなってしまった。あまりに重く苦しい。
父も様々、家庭も様々。そこは傷つく場なのか、再生する場なのか。グルグル回って傷つきながら生きていく女たちの姿が見える。
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