「レゼポペ来日公演~夜のままで」:楽譜以上
北とぴあ国際音楽祭2022
会場:北とぴあさくらホール
2022年11月18日
ルイ14世時代の宮廷歌曲の世界、歌うはクレール・ルフィリアートルである。レゼポペは彼女とステファン・フュジェ(チェンバロ)、日本在住のエマニュエル・ジラール(ガンバ)がメンバーとなるグループだ。
非常に覚えにくい名称だが(私だけ?)、フランス語で「叙事詩」という意味らしい。
休憩なしで80分の予定とのことだったけど実際は100分ぐらいになった。テーマはルイ14世時代の宮廷歌曲(いわゆるエール・ド・クール)で、これには二種類ある--「物憂げで優しい性格の曲」と「舞曲をモチーフにした遊び心ある曲」--というのは初めて知った。
取り上げた作曲家はリュリ、ランベール、あと初めて聞くようなド・ラ・バール、ダンブリュイという名もあった。
サブタイトルとなっているル・カミュの「夜のままで」で開始。フュジェが曲解説するのをジラールが訳したり、彼らが同時代の器楽曲を弾く時にはルフィリアートルは舞台から引っ込むという形で進んだ。
彼女の歌声は力強くかつ繊細で美しかった。以前の来日公演よりもさらに進化ならぬ深化したようである。1300席ある会場は古楽器の3人編成に向いてるとは言えないが、完璧にふさわしく声をコントロールしていた。
特にシャルパンティエの2曲目は、消え入るようなガンバの音と歌との掛け合いが強く印象に残った。周囲の空間にしみていくような演奏だった。
おかげで12月に控えるオペラ『アルミード』への期待は爆上がりしたのであった。ドーン🎆(爆上がりする音)……しかし(後の記事に続く)
ジラール氏が楽譜を落としながらもやっていた曲間の解説の通訳は、日常会話ならともかく専門的な話だとやはり大変だったもよう(;^_^A 時間が予定より伸びたのはそのせいかな。
フランス語で喋るフュジェ氏当人と会場の聴衆の双方が段々と「なんか喋ってる量と通訳された量に差があり過ぎないか(?_?)」という疑問にとらわれてくるという--💦
やはりできれば通訳係は別にいた方がいいようですね(^^)
この時の話で面白かったのは「トンボー」についてである。普通「追悼曲」だろうと思うが、正確には亡くなった人のキャラクターを表す曲とのことらしい。すると、陽気な人物なら陽気な曲になるということか。
実はプラムゾーラー&アンサンブル・ディドロが演奏したルベル作曲の『リュリ氏のトンボー』の録音を聞いた時に、他の演奏家ならゆっくり弾いているところをやたらと激しくてテンポが速くかった。あまりに激越なんんで、故人が墓から起き上がるのではないかとビックリしたほどだ。しかしリュリがそういう人物だとして考えれば納得である。
さて、彼らの知名度が低いせいかこの時の客の入りはお世辞にもいいとは言えなかった(空席の方が遥かに多い)。二階席を入れると北とぴあさくらホールは1300席だが、つつじホールなら400席。プログラム内容も合わせて考えるとこちらの方で聞きたかった。
音楽ホールについては「大は小を兼ねない」というのを分かってくださいよ~(>O<)
バロック歌曲の旋律は豊かな装飾に彩られていても、基本的には朗読的なものであり、その解釈は楽譜以上のものでなければなりません。
(プログラムより)
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