リュリ「アルミード」:隙あらばダンス
北とぴあ国際音楽祭2022
演出:ロマナ・アニエル
指揮:寺神戸亮
演奏:レ・ボレアード
会場:北とぴあ
2022年12月9日・11日
このオペラもコロナ禍で延期→3年目の正直でようやく開催というパターンのものである。
2020年11月の代替公演では寺神戸亮のフラバロオペラに対する熱ーい🔥こだわりを感じた。
翌年もやはり延期で代替公演となり、もはやメラメラと燃える執念の企画と言ってよいだろう。実現できてメデタイっヽ(^o^)丿
『アルミード』は『アティス』と並んでリュリのオペラの代表作とされているらしい。十字軍でキリスト教徒側を撃退した美しい魔女が、敵方で唯一自分に対抗した勇者に惚れてしまうというもの。ヘンデルの『リナルド』も同じ物語を元にしているそうな。
しかしルイ14世治下で好まれたオペラは、ヘンデルのような作品とは構造もタッチも見せどころも全く異なるということを感じた。「個人芸」を競うのではなく「場」を立ち上げていくような印象である。
さらに隙あらば🔜というタイミングで頻繁に入ってくるバロックダンスがそれを盛り上げる。去年も来日してくれたドレ氏が振付担当、ほか3人と共に踊ってまるで夢のようなホヤ~ッとした時間を生み出した。
しかし、美しい夢の世界と語り口であるとはいえ描かれていることはシビアで辛い。誇り高く強力な魔女が心底惚れた男に懇願しても退けられてしまう。とりわけ女ごころと秋の空、じゃなくて地獄の底、な第5幕は泣けた(ToT)
タイトルロールのルフィリアートルについては、9日公演では事前に「不調である」旨の異例の放送が入ったとのことで、私は11日にドキドキ💓して行った。この日は何もアナウンスがなくてホッとしたけど、やはりベスト・コンディションではなかったようだ。レゼポペの公演に比べると1~2割パワー減だったのは仕方ないだろう。
それでも地の底を這うような悲哀、渦巻くような戸惑い、矢のように解き放たれる怒りなどの抑制された表現は見事なものであった。さすがである。
また来日お願いしまーす\(◎o◎)/!
他には、与那城敬がターバンで半分顔が隠れていて最初「この人誰ですか?」状態だったけど、「憎しみ」役ともども迫力があった。ダンサーと一緒のパフォーマンスはご苦労様である。また、湯川亜矢子は3役をそれぞれ巧みにこなしていた。
楽器隊の方はヴィオラが3パート計6人とか、バス・ド・ヴィオロンが3人というところが珍しいものだった。ヴァイオリンよりもヴィオラの方が多いのね(!o!)
上尾直毅は今年もまた鍵盤とパーカッションを兼任していた。来年はぜひチェンバロ弾きながら同時にバスドラムを蹴ってほしい。
難点は照明が時々客の目を直撃すること。
それからソロ・合唱ともども男性陣の衣装がいささかショボ過ぎだったように思えた。セミステージ方式ということだから、みんな「自前」ということなのなのだろうか。それにしてもあんまりな印象🆖 女性陣の方は問題ないのにさ。
とりわけ肝心の相手役ルノーのフィリップ・タルボまで冴えない感じで、もう少しなんとかしてくれ~と言いたくなった。
とはいえ、費用対効果の点では今季開催されたバロックオペラの中では最も高かったのは確かだ。
来年はラモー『レ・ボレアード』とのこと、今からもう楽しみですっ✨
それからもちろん北区には足を向けて寝ていませんよ🎵
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