「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」:木は心
監督:ギレルモ・デル・トロ、マーク・グスタフソン
声の出演:ユアン・マクレガー
米国・メキシコ・フランス2022年
祝🎊アカデミー賞長編アニメーション部門獲得。
ネトフリ作品ではありますが、配信前に映画館で特別上映をやってくれたので見に行った。
ありがたいこってす。
実はディズニーの『ピノキオ』を見てないので影響とか比較はできない。そこら辺は適当な感想である。
原作を変えて舞台は第一次大戦後ムッソリーニ政権時代のイタリア。ストップモーション・アニメでミュージカル仕立てだ♪
ゼペットじいさんは息子を戦闘機の爆撃(第一次大戦)で亡くし、代わりに木からピノッキオを作る。--という冒頭で思い浮かぶのは、鉄腕アトムと天馬博士じゃないですか。でもそもそも手塚治虫の「アトム」はディズニー版に影響受けているそうな。
ともかく酔っ払って作ったのでかなり雑っぼい外見である。性格も暴れん坊の子どもだ。特に後ろ頭なんかモロに「木」のまんまである(思わずガン見👀)。そして結局彼は終始「木」っぽいままなのだ。人間らしくはならない。作品全体のヴィジュアルもオドロな感じでゴツゴツとした不気味さが占めている。
そしてその全てを素材の樹の段階から住んでいたコオロギが見ているという次第。
サーカスの団長が現れ契約書を持って迫り、ファシストの市長は死んでも死なない彼を兵士にしようとし、ついにはムッソリーニまで(!o!)やってくる。ファンタジーとはいえ、彼を追い詰めるのは怪物の類いではなく普通の人間の方なのだった。
資本主義の奴隷になるかファシズムの先兵となるか……ピノッキオはどちらも拒否して逃走する。
並行して父と息子の関係の描写にもかなりの重心が置かれていた。冒頭の「アトム」に加え、ラストでは『A.I.』まで登場するのだから。相当なこだわりようである。
M・ガローネ監督の『ほんとうのピノッキオ』は原作当時の容赦ない弱肉強食社会が描かれていた。こちらは不穏な時代・地域を背景に自由を問うている。
このように多様なテーマで取り上げられるということは、やはり原作に普遍性が潜んでいるのかな。
なお、ロバート・ゼメキス&トム・ハンクス版『ピノキオ』は未見です(^^ゞ
難点はコオロギがたまにG虫に見えること(+o+)ギャオ
『ほんとうのピノッキオ』には人面魚が出てきたが、本作にはなんと「のた魚」っぽいヤツが登場🐟……デル・トロは吾妻ひでおも見てるのかしらん。
声の配役は豪華出演陣も話題になった(C・ブランシェットにT・スウィントンなど)。コオロギ役のユアン・マクレガーは歌もそつなくこなしていた。
デル・トロがストップモーション・アニメということで、観客はてっきりオタク男性多数かと思ったら、あにはからんや(・o・) 平日の昼間ということもあるだろうけど、意外にも女性率90%以上であった❗ こりゃビックリだい。
| 固定リンク | 0