「ノベンバー」:詩人と死人の魂
監督:ライナル・サルネット
出演:レア・レスト
ポーランド・オランダ・エストニア2017年
バルト三国の一つエストニア産映画。事前知識は全くなかったが、予告を見ると暗い!怖い!キモい!の極致(おまけにモノクロだ)だったので見に行ってみた。
時代は19世紀後半くらいか❓ 11月、貧しい村では死者が戻ってくる季節(日本のお盆みたいなものかな)がやってきて……これが実際に死んだ者が森からやってきて、飲み食いしたりサウナに入ったりするんである。
貧しさゆえいつもボロボロの服を着た村人たち(そこら辺の描写は容赦がない)は、使い魔を作って命令してご近所同士で互いに家畜や金品を盗んだりする。こいつがまたドローンみたいに空まで飛べる優れものなのだ。さらに隙あらば疫病の神が姿を変えては侵入し、悪魔が魂を取引する。
そんな中で主人公の少女が同じ村の若者に恋しているが、彼は領主である貴族の美しい娘に一目ぼれしちゃって気もそぞろ。さらに父親は借金のカタに知り合いのオヤジと結婚話を勝手に進めている。
そこら辺にあるものを合わせて作った使い魔の異形、出没する悪魔、疫病への訳分からない対抗法など、中世を引きずっているような暗い辺境のこれでもかっというオドロオドロしさに胸が高鳴っちゃう💖
しかし後半になるとなぜかロマンチックな純愛方向へと展開し、期待を裏切るのであった。
若者が折角作った使い魔は足の部品を付けなかったために動くことができず、そのために「●人」になっちゃった--ってこりゃロマンチックが過ぎるだろう。思わず拍子抜けした( ̄д ̄)
「愛」も禍々しいのを期待していたのに、冷酷モードには展開しないことが現代風というようだ。そこがちと不満である。
なお、主要な4人の役者以外は全て素人を集めたのだとか。シワシワのオジオバが多数登場する。
エストニアの時代背景については完全無知で色々と初めて知った。ドイツに支配され、隣国ラトビアを下に見ている👎などなど。
音楽の使い方は面白かった。口琴が出てきたかと思えばなぜかマルチェッロ(?)が流れたり。
ロマンチックな愛が好きな人、あるいは神は信じないが魂の存在を信じる人向け。
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