「ベネデッタ」:イエス様萌えだけじゃダメかしら
監督:ポール・ヴァーホーヴェン
出演:ヴィルジニー・エフィラ
フランス・オランダ2021年
満員御礼🈵の映画館にて鑑賞。
ヴァーホーヴェンの尼さんものだって♪いかがわしそう~とケン・ラッセルの『肉体の悪魔』を期待して行ったら、よもやの山岸凉子案件だった。全国200万人(当社推定値)の山岸ファンは見に行くといいかもよ。
17世紀イタリアはトスカーナ地方の実在の人物であるベネデッタ。資産家の両親は幼い娘が霊感少女だったため持参金と共に修道院に預けることに。当時の修道院というのは金がないと入れなかったらしい。なにせ厳格そうな院長が「慈善事業ではない」と言うぐらいなのだ。
えっ、慈善ではない……(^^?ハテ
見ていると、当時の女性が単独で生活していける唯一の仕組みというのが修道院のようだ。持参金を持って入り、元気なうちは宗教行事や生産をこなし、老後を最後まで看取ってもらえる場所である。
院長にしても夫に先立たれて資産を持って娘と共に入ったのではないかと推測できる。
だがいかんせん狭い集団内。様々な思惑が交錯し、結局は信仰の沙汰も金次第、組織の上には塞ぐように男たちが存在し、さらにその上位にはピラミッド状の絶対権威の教会がある。
--その秩序を唯一打ち壊すのが主人公の起こす「奇跡」なのである💥
とはいえ彼女は修道院に飛び込んできた娘といかがわしい行為にふけり、さらには院長の座まで奪取してしまう。一方で子どもの頃からのイエス様熱烈ラブ💖は変わりない。
ヴァーホーヴェンはそんな彼女の信仰はもちろん残酷もエロもツルツルと(とらえどころなく)アッケラカンと描写する。
あのマリア像については笑うところかな(^^?
もっともベネデッタは見ようによっては相当にうさん臭くふてぶてしい人物である。これは監督のこれまでの作品のヒロイン像に合致するようだ。
反逆者か狂信者か……冒頭で「山岸凉子案件」と書いたが、山岸凉子だったら院長の眼から見た彼女を恐らく辛辣に描くだろう。
しかし最後の最後に町を襲う狂騒は間違いなく『肉体の悪魔』なのだった。
主役のヴィルジニー・エフィラは46歳\(◎o◎)/! うっそ~⚡ あまりにピチピチしている肉体。ぜひお肌の手入れ法を伝授していただきたい。
でも院長役のシャーロット・ランプリングの枯れた演技はそれ以上の魅力ありよ。
なお、これまで知らなかったのたけどヴァーホーヴェンは『ロボコップ』=キリストの復活譚として作ったらしい(ビデオのコメンタリーでそう語っているとか)。ではその復活を目撃するナンシー・アレンの同僚警官はマグダラのマリアなのか。
となると、本作でイエスさん愛にあふれて十字架に駆け寄るヒロインは実は監督ご本人ということかしらん(?_?) こりゃビックリだ。
音楽面では、修道女たちの讃美歌の合唱と共に、豪華な装飾のあるハーディガーディとトレブルガンバを演奏するシーンが出てくる(ヒルデガルド・フォン・ビンゲンの曲を使用)。
あと院長の娘がポジティフ・オルガン(背面にふいご付き)を演奏していた。
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