「正義の弧」上・下
刑事ハリー・ボッシュシリーズ、ここ数作は若い女性刑事レネイ・バラードと「共演」へと舵を切ってきた。果たして警察ミステリーで主人公の代替わりとかあるのだろうか……などとヤキモキしていた。
しかも前作出た時から「次は衝撃的展開に」などという噂が巷で囁かれているではないか。「衝撃的」ったらそのなんだあれか?あれなのか(>O<)イヤーッと恐る恐る読み進めたら予想の一部は当たり、一部は外れた。
前作ではもう警官なんかやってらんね~💥とブチ切れたバラード刑事だったが、独自に未解決犯罪事件捜査を担当できることになり、ボッシュをボランティア扱いで担当班に引き込む。しかし猛犬老いたりとはいえ頑固は変わらず、リードを引きちぎってあらぬ方向へ行くので苦労は絶えないのであった。
他にもメンバーがいる上、資金確保のために各方面に宣伝アピールも欠かせず、中間管理職の大変さがひしひしと--って、捜査官としての才能の無駄遣いのような気がしなくもない。
その上、ボッシュの頑固爺ぶりも半端ではない。彼も昔は若手にはあれをこうやって教えようとか色々と工夫したり、捜査班のチーフになったりしてたんじゃなかったっけ❔(記憶うろ覚え)
そこら辺の主人公の老化現象も忌憚なく描かれている。
余談だけど未解決犯罪事件捜査って、現在では実際は地味~な作業が中心なように思えた。DNA再分析とか家系図調査とか……。TVドラマにもなっているものの、本当は劇的展開というのは少ないのかも。
訳者あとがきにもあるが、第1作が1992年。私もずーっとリアルタイムで読んできた。ハードボイルド・ヒーローが歳月と共に老いていく(&頑固者になっていく)過程を目の当たりにするという体験をしたことになる。
私も一緒に歳を取りました(+_+)ショボショボ
他の小説でそんなに長く読み続けたものはない。もっともマンガなら珍しくはないか。『ガラかめ』が最たるものだろう。
思い返せば、その当時は海外ミステリーブーム。シリーズ物がかなり多く出版されて書店の棚をにぎわしていたが、ブームが去ってすっかり読めなくなってしまった。本国で終了した作品もあると思うが、いつの間にか続きが日本で訳されなくなり消えてしまったという印象である。
そんな中で出版社が変わっても(初期は扶桑社から出ていた)継続して読めたのはありがたい✨の一言だ。
とはいえ第1作『ブラックハート』上巻が544円、本作上巻は920円。価格の上昇も無情である。
訳者あとがきによると次に予定されているのは「リンカーン弁護士」シリーズらしいが、バラード物の続きもぜひ頼む(-人-;) アマゾンでTVシリーズが始まるのならそれに合わせて一冊出してほしいところだ。
さて、小説の原題となっていて作中に登場する「デザート・スター」という花、写真を見たいと思って検索したらサボテンみたいなのが出てきて驚いた。作中の描写と全然違う。どうも日本語ではうまく検索できないようだ。……というか日本には存在してないのかな?
あとがきにある名称をアルファベットで入力したら出て来た。
それともう一つ、重箱の隅つつきみたいだけど、邦題の「弧」は正義のことではなくて「宇宙」のことじゃないの❗❓(つまり宇宙が正義に向かって弧を描いていく)
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