ヘンデル「トロメーオ」:英雄来たりてお嬢様燃ゆ
主催:日本ヘンデル協会
音楽監督・演出:原雅巳
会場:東京文化会館小ホール
2023年7月29日
日本ヘンデル協会主催のヘンデル作オペラシリーズ、コロナ禍で中断していたのが復活したということで非常にメデタイ。(前回の感想はこちら)
ヘンデルがこのオペラを作ったのはロンドンで大活躍中の時期、新作も次々発表され--それらの中に埋もれてそうなのが本作である。
エジプト王の座をめぐるお家騒動という内容で、主人公となるプトレマイオス9世ことトロメーオ(中村裕美)はクレオパトラの祖父にあたるとのこと。登場人物は5人だがドラマとしては今一つスッキリせず分かりにくい。さらに仮の名前を名乗ったり本名になったりするので誰だか混乱しちゃうのであった。
なんとなく連続TVドラマシリーズが第4シーズンあたりで陥るグダグダぶりを連想した。
王座を狙うはずの王の弟(新田壮人)はいい人過ぎて葛藤をもたらさず。それよりもキプロス王の妹(小倉麻矢)が悪女……というより、あまりに「タカビーなお嬢さま」(死語)なので笑ってしまった。トロメーオを見てなんとなく俊寛を連想してしまったのはナイショである。
とはいえそれとは関係なく、音楽面で泣かせどころのツボをついてくるヘンデル先生の手腕は確実だった。
オーケストラはコンマスが大西律子なのは以前と変わらないが、メンバーはかなり交代して若返ったもよう。
一部分、照明のタイミングがずれたりハプニングが起こったりしたのは多分猛暑のせいということですね(^o^;)
このシリーズ、現在では珍しい当時の様式での上演を追及している。希少価値なのでこれからも長く続いてほしい。
なお、自由席だったのが指定席になったのはヨカッタ(^^) これまでは開場時間の前から長蛇の列ができていたのがなくなった。もっとも指定席だと気づかず、他人の席に座ってた人もいたみたいだが……。
復活ついでにブラボー✨も蘇ったようで、メデタイことである。
ところでこの小ホール、いつも行くと疑問に思うんだけど客はあの「坂」を上るしか入場できないのだろうか? 足の悪い人には無理なのでは。今回は坂を車椅子押している人を見かけた。しばらく前に改装工事してたけど、エレベーターとか構造的に設置できなかったんですかね。
昔の建築は外見のデザイン的にはいいけど、バリアフリーに関しては大きな問題ありが多いようだ。
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