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2023年8月 6日 (日)

「モリコーネ 映画が恋した音楽家」:見てから聞くか、聞いてから見るか

230806 監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:エンニオ・モリコーネ
イタリア2022年

最初は見る気がなかった。なぜかというと157分⏩という長尺だし、モリコーネが担当したような昔のイタリア映画はほとんど見てない。トルナトーレ監督の『ニュー・シネマ・パラダイス』だって未見なのであーる。
しかしあまりに絶賛評を多く見かけたので行ってみた。

その結果、なるほどこれは映画館で鑑賞するのがデフォルトだと納得した。だって映画音楽なんだもん(*^▽^*)
そしてタイ焼きのように頭からシッポまでモリコーネとその音楽がギュッと詰まっている印象である。堪能しました♪

ドキュメンタリーとしては本人や周囲の人々のインタビューで彼の経歴をたどっていくわけだが、最初から順風満帆なわけはない。音楽学校へ行ったものの就職口がなく、クラブやキャバレーで演奏したり編曲したり。
映画音楽の世界へと進むも、当時は低級な音楽とされていたため恩師と疎遠になる。売れっ子になって様々な作風で実験的な試みをしたり、と思えばまたオーケストラ路線に戻したり。
色々と事情あってキューブリックとの仕事を逃したのは残念無念とのこと。もし仕事してたら二人でチェスを指したかな。

というようないきさつを実際の音楽と共にたっぷりと見せて聴かせてくれるのだった。
私は未見の作品があまりに多くて反省。本作を見た後に『ミッション』をようやく鑑賞した。本人は絶対にアカデミー作曲賞を獲得すると確信していたのに、なぜか取ったのはハービー・ハンコックという……❗❓

非常に多くの人々が彼について語る中、パット・メセニーが何度も登場してて、彼がモリコーネに傾倒しているのを初めて知った。同じような方向の音楽を目指しているらしいこともだ。
メセニーの音楽はガチなジャズからオーケストラを付けたような作品まで多種多様で、チャーリー・ヘイデンとのアルバムではカバーしてもいるが、取り上げたからと言ってそこまで傾倒しているとは思わなかった。
しかしそういわれてみれば納得である。

近年、音楽ドキュメンタリーが次々と公開されているがその中でも見ごたえ聞きごたえ大いにありの一作だろう。

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