「帰れない山」:友情は山小屋と涙とため息か
監督:フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン、シャルロッテ・ファンデルメールシュ
出演:ルカ・マリネッリ、アレッサンドロ・ボルギ
イタリア・ベルギー・フランス2022年
イタリアの都市トリノに住む少年が夏休みだけ山村にある家で両親とともに過ごす。そこで村でただ一人の子どもである少年と知り合う。
この境遇も性格も対照的な二人の長年に渡る友情を描く。原作はイタリアのベスセラー小説とのことだ。
村の少年ブルーノは貧しく親戚の家に厄介になって、教育も受けられず牛飼いをしている。都会育ちのピエトロは体格は貧弱、内向的で家にこもっている。
正反対ではあるが二人は仲よくなり、登山愛好者であるピエトロの父親と共に山歩きをする。
思春期には疎遠となり、成人となってからとあるきっかけで再会することになる。
さらに歳月を重ねるうちに、子どもの頃は元気な野生児✖引っ込み思案な子だったのが、一人は頑固で閉じこもり、もう一人はふ~らりフラフラと風来坊ぽくなって逆転交差してしまうのが、人生何がどう変わるのか分からなくて興味深い。
その背景にはいつも美しい山があり、画面の中からグイと迫ってくる。風景が非常に素晴らしい。
とはいえかなり厳しく奥まった山中--ここで撮影するのは大変そうだ。道路なんかないだろうし、機材はどうやって運んだのか。空路❓ しかも各季節ごとに訪れては撮っているはずだから余計にそう思える。
しかし、前半は良かったのだけど後半に来ると、見ててどうも登場人物同様にあてもなく戸惑っているように感じた。中心の役者二人は文句なし。編集のせいだろうか。
雪の重みならぬ、2時間半弱の長さを保持する支持力がなかったのか。映像の美しさは充分なのだが。
それと、作中でどうも明確に描かれていないが、ピエトロの両親がブルーノを引き取ろうとする場面でピエトロは反対する。その時いかにも彼を思いやっているような理由を述べるのだが、どう考えても自分の家に来てほしくないと思っているが故の発言だろう。ただ、はっきりとそうは断定してはいないのだよね。
で後年、親が陰で知らぬうちに他所の子どもをかわいがってたと知ったら、いくら疎遠だったとは言え嫌だと感じるのではないか。
そこら辺の葛藤がやはり出てこない。原作はどうなのだろうか。
音楽はオリジナルの英語の歌で、全て同じ歌手が歌っているもよう。ややベタな感じである。
カンヌで審査員賞を受賞。同じ賞を分け合った『EO』と同様にロバが登場するけど、ロバは元気です!
それと、非常に大事なことなので一度だけ強調文字で言います。
ルカ・マリネッリはヒゲを生やしてもカッコエエです(^O^)/
*追記:ブルーノとピエトロを書き違えてた部分を修正しました。
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