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2023年10月22日 (日)

「音楽風刺劇 オスペダーレ」:金は万病の薬

231022 演奏:ラ・フォンテヴェルデ
会場:ハクジュホール
2023年9月8日

イタリアにて手稿譜の中から発見された作曲家不詳の音楽劇、本邦初演である。17世紀中期~後半に作られたらしいが、台本作者は分かっているものの作曲者は不明、上演記録も明確ではない。

まず発見者の松本直美の解説が冒頭に数十分あり、演奏は正味1時間10分ぐらいだった。口上役(俳優)が登場して日本語で健康と身体について長々と持論を述べる。

舞台は精神病院--というより救護院と言った方がよいかな、患者である貧者、愚者、過労死寸前の社畜状態の役人、重度恋煩いの女がそれぞれに窮状を訴える。
部外者である「外国人」(鈴木美登里)が医者について警告を発して去った後に、満を持して期待を背負って医者が現れる。もちろん警告通りにいい加減で役に立たないヤツだ。
この医者は実質主役と言っていいほどの大役(?) 演じる小笠原美敬は歌っていて付けたチョビ髭が吹き飛ぶほどの熱演&熱唱🔥で、ドリフターズを思わせるコメディアンぶりだった。

患者役では一番大柄な上杉清仁が大きなクマ人形を抱えていてカワユイなんて思っちゃった(#^o^#) 谷口陽介はすっかり背後に貧乏神を背負った様子でまさに全身不景気である。着用していた「貧乏」Tシャツ思わず欲し……くないな。
官畜ならぬ官吏の中嶋克彦、恋わずらいというよりストーカーっぽい染谷熱子も堂に入ったなりきり歌唱だった。
結論は貧乏につける薬はない、有効なのはただ現金💰のみで他の病気も同様ということ。今の日本も全く同じじゃないの。

興味深いのはギャグの多くは尾籠ネタだった(医者の話だからか)。
当時の(も?)医者は「偉そう」「金を儲けている」と思われていたのだろうか。モリエールも医者ネタを多くやってたようだし、信用されてない職業ナンバーワン(*_*;なのは古今東西変わりなしのようだ。

器楽陣はなんとチェロ・チェンバロ・ハープだけというのに驚いた。鈴木秀美・上尾直毅・伊藤美恵の3人は完璧に演者陣を支えていた。感服いたしましたm(__)m

こんな滅多に接する機会がないような作品を上演してくれたのはありがたいこってす。
雨の中電車が30分も止まったりしたが、行けてヨカッタ✨

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