「野又穫 Continuum 想像の語彙」
会場:東京オペラシティアートギャラリー
2023年7月6日~9月24日
空と雲を背景にした明るく奇妙な建造物の数々を描き続ける野又穫。その作品の多くは明るいイメージだが人の姿はなく、ただ構築する意志のみが感じ取れるものだ。
以前、同じ会場の上階での展覧会を見たのだがあれから20年近く経ったとは……。私も歳を取ったのう(ーー;)などと感慨を抱いちゃう。
今回は作風の変化ごとに大体4つの時代に分けて展示している。代表的と言える1990年代の大型絵画を最初に持ってきて、次に初期のもの。珍しく人物が描きこまれている作品がある。
そして徐々に発展変化を遂げる2000年代。ここでは堕落の象徴バベルの塔を描いてさえも明快さと澄み切った意志が感じられる。
しかしその後に東日本大震災が起こった。当時朝日新聞連載のコラムで彼のイラストを見ていた者は作風の「崩壊」に驚いただろう。
その時期を脱した後の絵画をちゃんと見たのは今回が初めてだが、似たような構造物であってももはや不安と不均衡の予感なしには見られないのだ。特に震災直後の絵画はコスタビっぽく(不条理と皮肉)感じた。
とはいえ見ることの喜びが確かにそこに存在するのは変わらないのである。
結局図録を買ってしまった。重くて金が飛んでいった(・・;) しばらくぶりに行ったら隣接するアートショップが改装している。以前はゴチャゴチャしてて何があるか分からない面白さがあったのに、なんだかスッキリし過ぎになってて不満よ。
同じ会場の企画展で「Babel 2005」を見たのは2007年だった。その時の感想はこちら。
下の階でのティルマンス展と共に、上階で野又穫をやったのは2004年のようだ(ブログを書き始める前のことである)。
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