「EO イーオー」:ロバと共に三千里
監督:イエジー・スコリモフスキ
出演:サンドラ・ドルジマルスカ
ポーランド・イタリア2022年
予告だけ見た時は人間とロバの悲しいお話💧と思えたスコリモフスキ監督作品(元になったブレッソンの『バルタザールどこへ行く』は未見です)。
しかし実際は前作『イレブン・ミニッツ』にも似て、EOという名のロバを主人公に同じ時間を繰り返すような不条理な内容だった。前作に登場したのは11人と1匹だが今作は代わりにロバ1頭だけが全てを体験する。
サーカスに始まり→馬小屋脱走→農場→サッカー場→トラック……限りない変転に流されていく。
一度死にそうな目にあったのに、次の場面では何事もなく別の生活を送ってたりするなど、とても同一人物--じゃなくて同一ロバとは思えない。
脈絡なく登場する変なロボット犬はなんなんだ(?_?) 明確なストリーラインは無きに等しい。スコリモフスキ85歳、老境には程遠いぶっ飛び方である。
人間の限りない愚行と自然の超然さをロバを狂言回しにして描いたということだろうか。
EOは何にも言わないけれど、EOの気持ちはよくわか……わからないような(;^_^A
人間がロバを見ている時ロバもまた人間を見ているのである、ナンチャッテ💥
音楽の使い方もかなり多様で大胆だ。一か所『2001』のパロディみたいな場面があったけど、そこではちゃんとリゲティっぽい音楽だった。
アカデミー賞国際長編映画部門ノミネート。カンヌでは審査員賞を『帰れない山』と分かちあ合った(珍しいことらしい)。
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