アレッサンドロ・ストラデッラ「洗礼者ヨハネ」:ドラマチックが止まらない
演奏:古楽アンサンブル エクス・ノーヴォ
会場:東京文化会館小ホール
2023年11月13日
「オラトリオ史に燦然と輝く傑作! ストラデッラの代表作が遂に登場!」(公演チラシより)
ストラデッラというとイタリア?バロック中期ぐらい❓の作曲家かなあ、なんて適当な知識しかない。過去のブログを見てもどうも彼中心のプログラムというのは聞いたことがないようだ。
しかしその正体は合奏協奏曲の形式を作り、さらにオペラやオラトリオの作曲家として後世に影響を与え……そんな偉い人とは知りませんでしたm(__)m
さて1675年に上演されたというこのオラトリオ、題材は新約聖書よりヘロデ王と彼を批判するヨハネのエピソードに基づいている。当然、サロメが出てきてエロい踊りを--と思っちゃうが、サロメという名は後世に付けられたものということだしエロくもないのだ。
厳しく詰めてくるヨハネ、ウツウツと過ごすヘロデ王、策謀をめぐらすヘロディア、若くて邪気のないその娘、とドラマチック過ぎる状況だ
こんなに劇的でエエんですか?と言いたくなるぐらい。特に要所要所で使われる二重唱は劇的効果満点であった。
前半は直情娘だったのが、最後は一転ヨハネの処刑に微笑んじゃうへロディアの娘がコワ過ぎである。佐藤裕希恵はその変化を完璧に演じて歌いきった。思わず拍手(*^^)//""パチパチ
それと「廷臣」役(大野彰展)というのがてっきり端役だと思っていたら、中間管理職みたいにヨレヨレしたヘロデ王へ、目いっぱいに朗々とヨイショするアリアを歌いあげたのには驚いた。こんな部下からのゴマスリみたいな内容の歌詞なのに感動させるとは大したものである。(そのおかげか✨大野氏は後で大役に抜擢)
器楽隊も文句なしであった。特にコントラバスの布施砂丘彦の低音がビンビンと響いてきた。テオルボの佐藤亜紀子は世代交代のせいか引っ張りだこらしく、最近至る所で拝見(拝聴)しますな。
チェンバロの渡邊孝は曲の終了と同時にカーテンコールを待たずにいずこかへ消えてしまった。一体どうしたのかと思ったらイタリアへ戻るため空港へ直行したとのこと。大変だ~。
作品自体は後年のヘンデルやバッハへの影響が感じ取れた。また二重唱の効果的な使い方こそがドラマチックの所以だろうか。
といかく指揮者の福島康晴はお疲れさまでした。また面白いプログラムをお願いします。
冒頭から譜面台のトラブル🆘が起こった。その後も歌手の皆さんが楽譜置くたびにドキドキしちゃった。まさにさわらぬ譜面台に祟りなし、ですね(^◇^)
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