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2024年2月 6日 (火)

「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」:老いてますますアート

240206 監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ヴィゴ・モーテンセン
カナダ・ギリシャ2022年

お久しぶり!前作からはや8年、久々の新作はクローネンバーグ節が炸裂である。
人類から「痛み」の感覚が無くなった世界。体内に新しい臓器を生み出し、それを切除するパフォーマンスをアートとして見せる「特殊芸術家」の男が主人公だ。
彼の腹に内視鏡突っ込んでグリグリしたいのう💓 女たちは欲望にかられてやり方は異なれどそれぞれに突撃し、男たちもやる勇気はないけどつい周囲をウロウロしてしまう。C・スチュワートが純情乙女風にズイッと迫ってくるのと同様に、男も遠慮せず迫っちゃえばいいのに--と思うが、監督はそういう方向に興味はないようで。

映像的に見れば、主人公を演じるヴィゴの肉体を欲して男女関係なく隙あらば突っ込んでくるという状況。こりゃ、いかがわしさエロさ爆発で正視もできぬ(でもしちゃうが)。
そのためか彼は人目を避けて、常にニンジャのような黒衣をまとい背を丸めてこそこそと歩くしかないのであった。
そしてなぜか「情報屋」として街外れの廃墟で刑事と会って度々密告を行なう。これはもしかして「逢引き」というヤツでしょうかな(^^?

異様な設定の説明はセリフによるものが多く、気を抜くと理解できぬまま進行してしまう。変なヤツが複数登場するが何をなんのためにやっているのかもよく分からん。
主人公の身体が「老い」を表しているという説を後から知ったが、そう言われれば奇妙な形の寝台や食事椅子、解剖台は確かに介護用品ぽくてなるほどと思った。
古い油の匂い漂うような老朽化した世界に老いた男が生きる。そういう映画だろうか。(パートナー役のレア・セドゥはまだ若くてエロくピンピンしているけどな)

幾つか作中に登場するパフォーマンス場面は80年代アートシーンの流行を懐かしく想起させるものだった。廃工場みたいな場所で行われるのを含めて。少年の〇体の描写さえもだ。「耳男」👂には笑いました。
それが「昭和」っぽくならないのはさすがのクローネンバークであろう--まあそもそも日本人じゃないから関係ないか。

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