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2024年2月23日 (金)

ラモー「レ・ボレアード」:上演成功なれど、未来の波高し

240223 北とぴあ国際音楽祭2023
演奏:寺神戸亮&レ・ボレアード
演出:ロマナ・アニエル
会場:北とぴあ
2023年12月8日・10日

寺神戸亮の宿願であった本作、遂に上演である。なんでもラモーの死の前年にリハーサル上演は行われたけどなぜかそのままお蔵入りになってしまい、後年は楽譜についてゴタゴタがあり、全曲演奏が行なわれるのはこれで史上4回目とのこと(!o!) こりゃ驚いた。

セミ・ステージ形式ということでオーケストラは舞台の奥に位置する。演出・振付は去年と同じくバロックダンスを前面に押し出しての上演となっている。
ただ直前にテノール歌手の来日がキャンセルとなり、急きょ代役を立てるというアクシデントが起きた。抜擢されたのはこちらの公演でヘロデ王をヨイショする曲を感動的に歌い上げた大野彰展であった。

神話伝説の類いで女王が結婚相手を選ぶのは波乱含み--というのは定番の設定なのだろうか。女王の責務か揺れる恋心か💕 ラモーのオーケストレーションは微に入り細に入り登場人物の心の襞々に添うような印象で繰り広げられる。
一方、神様も絡めば天変地異に祝祭もなんでもあり。それが舞台の上で4人のダンサーたちによって事あるごとに華麗に展開する。一番面白かったのは大きな布を使って水中のダンスを模した場面。泳いでいる振付(一部溺れてたりして)で色々と笑わせてくれた。

ただ休憩中に「オーケストラが舞台の奥過ぎてよく聞こえない」と不満の声が聞こえてきた。確かにそれはあったような……。今一つパンチ不足な印象があり。
それと後で「ホルンが下手過ぎ」という感想をいくつか見かけた。そんなひどかったっけかな(?_?) 個々の楽器までちゃんと聞き分けられなかったけど、ナチュラルホルンならば通常運転ではないだろうか❓ハテ。

主役のカミーユ・プールは激しく揺れる女心を見事に表現。相手役大野彰展は突然の代役お疲れさまでしたm(__)m 谷口洋介は「鼻持ちならない求婚者その2」を完璧に演じて笑わせてくれた。堂に入っているとはこのことか。
ダンサー4人のうち若い方の男性は背が高くて細身でおまけに小顔。10~12頭身ぐらいかってなもん。まるで金子國義の描く若者みたいでしげしげと見ちゃった👀

よくぞ上演してくれました、ありがとうと言いたいところではありますが……
問題点その1-字幕が両脇過ぎて見るのが大変だった。結構ステージを見やすい座席が取れて喜んでたんだけど。あれだとステージ前の真ん中のエリアの人たちは字幕見るのあきらめてたのかな。
問題点その2-昨年同様に男性歌手陣の衣装が手抜きなこと。少なくとも配役に入っている人は何とかしてほしかった。神様の血を引く求婚者たちと、どこの馬の骨か分からない正体不明の若者の衣装が色違いだけというのはいくらなんでもあんまりだー(・・;)

しかし、文句を言っているどころではない事態になったもようだ。
例年プログラムの最後のページには翌年のオペラの演目と海外の出演予定者が掲載されているのだが、それが今回はなかった。
衝撃である💥
北とぴあは改修工事に入るそうだが、さらに翌年なので関係ないはずだ。区長が変わって緊縮財政で予算減らされちゃったのかしらん。どーなるの。
北区民の人なんとかして🆘と文化果つる地埼玉県民としては他力本願で祈るばかりであります(>人<)

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