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2024年5月10日 (金)

実録女の肖像・その1「シモーヌ フランスに最も愛された政治家」

240510 監督:オリヴィエ・ダアン
出演:エルザ・ジルベルスタイン
フランス2022年

シモーヌ・ヴェイユというと哲学者の?と思い浮かぶが、この映画の主人公は同姓同名らしくフランスの保健相として活躍しさらに女性初のEU議長となった人物である。全く知らなかった(!o!)

1974年に怒号飛び交う国会で中絶法を通し、刑務所内での囚人の待遇改善やエイズ患者救済など功績は数知れず。
その背景にはユダヤ人収容所での壮絶な体験がある。その描写がまた半端なものではない。女性の収容者の忌憚ない体験談は珍しいかも。長年に渡り記憶に苦しめられるのも納得の恐ろしさだ。しかも一番恐ろしいところは描けなかったのではないか……。
さらに、フランスに生還しても収容所サバイバーは無力な者とされ、「なかったこと」にされてしまうコワさよ😑

彼女の数々の功績と収容所体験、みっちり描けば140分になってしまうのも仕方ないだろう。
だが、あまりにも複数の時代を頻繁に行き来するのでかなり混乱。人物が多くて誰が誰だか分からなくなってしまう。

それから、家庭で夫を支えてきた彼女が突然法律を学ぼうと決意する、その大転換のきっかけが何なのかが分からなかった。肝心なところなのだけど全く説明や描写なしだ。
どうもずっとそこが引っ掛かってしまった。

当時のフランスでも「中絶を合法にしてしまったら次は同性婚が来るぞー」なんて反対勢力がいる状況、今の日本と似てるじゃないですか(・・;)
でも逆から見れば、あと50年経てばさすがに日本も改善されるということ。だからみんな頑張るんだヽ(^o^)丿
まあ、私は生きてないけどな💀

「フランスに最も愛された政治家」ってサブタイトルはおかしくないか? 「フランスで」じゃないのね。
父親はフランスを愛したのに、その後の行く末を考えると相当に皮肉ではある。

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