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2024年6月

2024年6月30日 (日)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2024年7月編

個人の好みで適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ
事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。
小さな会場は完売の可能性あり。ご注意ください。

*3日(水)ゴールトベルク変奏曲 アルテ・デラルコ編による弦楽トリオ版(鈴木秀美ほか):ルーテル市ヶ谷ホール
*  〃  バンジャマン・アラール チェンバロ・リサイタル:浜離宮朝日ホール
*5日(金)ブクステフーデ 最後の審判(ボナムジケメンブラ):霊南坂教会
*  〃  タリス・スコラーズ:東京オペラシティコンサートホール ♪川崎公演あり
*7日(日)オルガンとチェンバロで聴き比べるゴルトベルク 大塚直哉レクチャー・コンサート:彩の国さいたま芸術劇場
*13日(土)追悼演奏会 中村忠・江崎浩司・金子浩の功績を讃える会:ルーテル市ヶ谷ホール ♪二部構成(入替え制)
*15日(月)ブクステフーデからバッハへ(バッハ・コレギウム・ジャパン):東京オペラシティコンサートホール
*18日(木)ヴェネツィア楽派の名望 ドイツより愛をこめて(髙橋弘治ほか):横浜市鶴見区民文化センターサルビアホール
*21日(日)コンセールによるクラヴサン曲(上村かおりほか):番町教会
*  〃   リコーダーとチェンバロによるヴェネツィア共和国 カステッロ(太田光子&平井み帆):ムジカーザ
*  〃   ルネサンスリコーダーの饗宴2 バロックの夜明けに向かい、国境を越え影響し合う作曲家たち(東京ブロックフレーテ・アンサンブル):同仁キリスト教会
*27日(土)古楽器で聴くドイツ・バロック音楽(新井道代ほか):松明堂音楽ホール
*  〃   デュオ・リサイタル シュメルツァーからJ・S・バッハまで(遠藤結子&西野晟一朗):今井館聖書講堂
*28日(日)バッハ 無伴奏チェロ組曲全曲リサイタル(島根朋史):ユリホール

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2024年6月29日 (土)

ヘンデル「デイダミーア」:最後のオペラ、その時何が!?

240629 二期会ニューウェーブ・オペラ劇場
指揮:鈴木秀美
演出・振付:中村蓉
会場:めぐろパーシモンホール
2024年5月25日・26日

恒例の二期会+ヒデミ氏のヘンデル、26日の方に行った。
本作はヘンデルのオペラとしては最後の作品で、上演回数はなんと3回で終了というサビシイものである。もっとも早々に終わってしまった理由は諸説あるらしい。

演出は前回(2021年)の『セルセ』同様に中村蓉が担当。登場人物は6人、ダンサー6人が加わって衣装、装置、照明も極めてモダンな味わいである。幾つか曲を省略とのことで展開も早かった。
休憩は1回だけとか歌手も踊るとか酒場が劇中に登場するというようなところも、前回の形式を踏襲していたもよう。

あらゆる場面で支えるダンサーの方々は大活躍、ご苦労さんですと言いたくなった。負けずに一緒に踊った歌手たちも同じくである👍
オーケストラは前半ややおとなしめだったが後半はジワジワくるヘンデル節を体現していた。コンマスは戸田薫。鍵盤担当は上尾直毅と福間彩だったが、私の座席からは完全に「音はすれども姿は見えず」状態だった。

ヘンデル最後のオペラ作品のせいと言っていいのか(?)ヒロインにとってはこれまでとは異なる掟破りのアンハッピーエンドである。男の身勝手に振り回されつつも、ラストではがっちり幸福をつかむというのがこれまでの定番だったはず。
必ず一人はいたもろにコメディ担当のキャラクターもいない。なげやり気分で作った……わけじゃないよね(^^?

それと演出方法について。強力なコンセプトで舞台を作るという手法は、歌手やオーケストラがそれに飲み込まれてコマの一つになってしまうような気がした。見ている分には面白いのだが、肝心の音楽の方は気もそぞろになってしまうところがある。
もっともオペラは総合芸術だという観点から見ればそれで構わないのかもしれない。

なお、この『デイダミーア』については過去にヘンデル協会が上演している。感想はこちら。ヘンデル当時の上演形式を復元していて今回とは対照的だ。

このバロックオペラシリーズは三年に一度ということで、また次回もお願いします。でも会場で寄付金を募っていていずこも大変だ(-_-;)
余談だが無料配布のパンフのインクが薄い緑で印刷されていて、見にくいという意見を見かけたけど、確かにそうだった💢
年寄りの眼にはキビシイのう((+_+))ショボ ユニバーサルデザインの配慮お願いしたい。

 

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2024年6月21日 (金)

「落下の解剖学」:幸福と真実は見つけるもんじゃない、自分で作るもの

監督:ジュスティーヌ・トリエ
出演:ザンドラ・ヒュラー
フランス2023年

カンヌ映画祭で最高賞のパルムドール(パルムドッグも🐶)を獲得、その他多数の賞レースに関わったということで期待大の一作だった。
しかし、なんか予想していたのと違う……(ーー;)

冒頭、夫婦間の嫌がらせのような大音響が響いたかと思ったら、死体発生💥 てっきりサスペンス路線に進むのかと思いきや、お隣の家庭騒動に聞き耳をたて、さらには塀を乗り越えて窓の隙間から覗き込んでいるような方向へと向かうのであった。

そして明らかにされるのは、
*作家(志望者)同士の結婚は鬼門。(日本でも例あり)
*夫婦ゲンカは犬も食わねえ。(代わりに他の物を食っちゃう)
*みんな驚くフランスの裁判。
*家政婦ならぬ、犬は見ていた!

死体発生の原因は自殺が殺人か事故か。そのいずれなのか裁判してもよく分からず、結局は夫婦のいさかいへと収斂していく。事情はブラックボックス化して、下手すりゃ誰も真相を語っていない可能性もある。第三者には推測しがたいのは当然だろう。
事前の情報からM・ハネケっぽいのかと思ったら、取り上げている「事象」は似ていてもテーマの方向は異なるようだ。ハネケなら情緒描写削ってイヤミ満載にし、ズビャギンツェフならばもっと冷徹に突き放すと想像する。

しかも、全編なんだか「思わせぶり」な感触である。
家の中で誰が目撃したのか不明な短いショットが幾つか挿入されているのはなんなのか。
夫婦の言い争いや夫の車内の発言が客観的な映像として出てきて事実のように見せる(観客に対し)が、全くもって怪しい。
妻の母語はドイツ語なのに、なぜ裁判では英語で話すのか。
などなど例を挙げればキリがない。そういう点が巧みとほめることはできるが、逆から見ると「おちょくってる」となってしまう。

監督夫妻(夫は共同脚本を担当)は『フレンチアルプスで起きたこと』がお気に入りだとのこと。そういえば、あの映画の夫婦を逆の関係にしたようではある。
と、思ったらカンヌ映画祭2023の審査委員長は『フレンチアルプス~』のオストルンド監督だったじゃあ~りませんか。親しい監督同士の内輪で賞をあげたんじゃないかと疑惑が発生するのだった(ー_ー)!!

そういう事情とは別に主演のザンドラ・ヒュラーはヌエ的な人物を演じて、確かにアカデミー賞主女部門候補の価値はあり。さらに弁護士役のスワン・アルローは「HOTな弁護士」として一部で話題💖となった。
彼はアカデミー賞授賞式ではヒュラーの隣に座っていたため、中継で彼女が映るたびに(『関心領域』でも主演していたので回数が多かった)HOT🔥な弁護士も一緒に大写しとなり全世界のファンを喜ばせたのであった。

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2024年6月15日 (土)

「2本のリコーダーとヴァイオリンで紡ぐ 18世紀ドイツとフランスのバロック音楽」:子弟縦笛競演

演奏:セバスティアン・マルクほか
会場:日本ホーリネス教団東京中央教会
2024年5月23日

宇治川朝政のリコーダー師匠であるセバスティアン・マルクが来日、ヴァイオリンの廣見史帆が加わり通奏低音なしで3人という(珍しい?)編成のコンサートを開いた。

前半フランスもの、後半はドイツものという構成で、ドルネル、オトテール、ボワモルティエなど。楽器指定のない曲や指定とは別の楽器に変えたりと様々である。
クープランのチェンバロ曲を3人用に編曲した「嘆きのムシクイたち」という曲があり。てっきり、折角のお衣装が虫に食われて穴が開いたのを嘆いているのかと思ったら「ムシクイ」とは鳥の名前だとゆう……(;^_^A

ある曲では和気あいあいと、またある曲では丁々発止とした掛け合いを聞かせてもらった。マルクは弟子よりも痩せてヒョローとした外見。演奏もパワーより細心さ中心だ。
後半、テレマンのリコーダー2本用ソナタの終曲は二人の疾走感あふれるアレグロで皆さん大拍手(*^^)//""パチパチ
その後のバッハ編曲版ではあまりの迫力に客席から感嘆の声が上がった。聞けて大いに満足である。

この会場は初めて行った。新大久保の他の教会2か所より建物が新しく、音響も一番いいようだった。
ただ問題は場所が分かりにくいこと。この時期だとまだ外は明るく大丈夫だろうと思ったら、完全に迷った~🆘 仕方なくスマホのマップを発動してようやくたどり着いた。最初から使えってことですね(-_-;)

途中で狭い路地に入り込んじゃったら変なおぢさんが道沿いに家々に唾を吐きかけて歩いていた。それも地面じゃなくてわざと高い場所に向かってなのだ。ひーコワイよ~(><)
これが東京の下町の真の姿であるよ💀

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2024年6月10日 (月)

「Saltburn ソルトバーン」:萌えるが勝ち

監督:エメラルド・フェネル
出演:バリー・コーガン
イギリス・米国2023年
アマプラ視聴

米国で中ぐらいヒットしたと思ったら、なぜか日本ではあっという間に配信スルーになってしまった一作。しかも配信開始当初、検索できない見つからないと騒ぎになった。劇場公開したら女性客中心に結構入ったのではないかと思うのだが(?_?)

頑張ってオックスフォード大学に入ったはいいけれど😑……という貧乏学生、周囲の金持ち子弟になじめず友人もできない状態でクサっていた。しかし魅力たっぷり人気者✨の名門貴族の息子と知り合い、誘われて夏の休暇を実家で過ごすことになる。

あまりに豪華なお城(~o~)に目もくらむが、どうもその息子は過去に同じような「友人」を連れてきては、一家で半ばバカにしながら観察するのを繰り返しているようなのだ。ロザムンド・パイクの扮する母親が微妙にイヤミ。

この鼻持ちならない一家が彼を珍獣みたいに見るのは『ゲット・アウト』ぽく、広大な庭園の迷路は『シャイニング』を思い起こさせる。
しかし一番の影響は『ブライズヘッドふたたび』(原作は未読です(^^;ゞ)ではないか。巨万の富を持ちながらあまり幸せそうでもなく、一方魅力的でもある貴族一家の悲劇を目撃する--というような話になるかと思ったら、途中でグイと方向転換してしまう。
えっ、そっちに転がっていくのかと驚いた。終盤はひたすら強引な力技で展開する。

ラストシーンに至ってはこれが主人公の望んだものなのかと困惑した。それともメイドが主人公の某映画からの引用かな。あっちは踊ってはいなかったけど(ーー;)

どうでもいい場面に時間をかけて描写している割には肝心な部分は手抜きかスルーなので、一体彼が何をしたかったのかよく分からない。それどころかどういう人物なのかも理解できなかった。大体にして冒頭と後半、主人公の人格変わりすぎじゃないの。

と思ったらフェネル監督の前作『プロミシング・ヤング・ウーマン』についても同じような事を書いてたので、どうも私とは相性が悪いということだろう。
ただバリー・コーガン(キオガン?)やジェイコブ・エロルディを初め役者たちの魅力は充分発揮されているので、萌えたい人💗は見るが吉である。

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2024年6月 6日 (木)

「新旧教徒の交差と希望」:音楽は戦禍を越えて

240605 演奏:アンサンブル・アカデミア・ムジカ
会場:日本福音ルーテル東京教会
2024年4月16日

ボヘミアン・バロック・プロジェクトも遂に第3弾である。(第1回第2回の感想)
ボヘミア地方に起こった新旧教の対立による戦乱は長引き、30年戦争となって広範囲の地域に渡り荒廃を招いたという。
そのような時代に戦乱とは関係なく交流し影響を受けたり与えたり--そんな音楽家たちに焦点あてた特集である。

トゥンダー、ケルル、カプリコルヌスなど……あまりに渋過ぎな作曲家たちによる器楽曲やカンタータが繰り広げられた。
ビーバーのソナタはヴァイオリンとトランペット各々二つが互いに模倣しあっていく。クリーガーのカンタータでは管がスムーズに歌を寄り添っていたという印象。
管・弦・声🎼いずれも満足できる内容だった。

杉村智大、村上信吾のトランペット隊はじめ定例メンバー7人に加え、今回はゲストが2人いた。
ヴァイオリンのアナイス・チェンはスラリンとした細身からは信じられぬ豪胆にして緻密な演奏を聞かせてくれた。病気のため一時休養していたそうだが、まだ療養途中という事かな? これからの活躍を祈っております(^^)
バスの渡辺祐介は安定した歌唱を聞かせてくれたが、もう一つサイズの大きなシャツの着用をおすすめしたい。

余談だが、各人の楽器解説コーナーでヴィオローネの角谷朋紀が「この楽器のガット弦は羊20匹分」と話した時には会場がどよめいた。

また第4回を楽しみにしています✨

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2024年6月 1日 (土)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2024年6月編

個人の好みで適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ
事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。
小さな会場は完売の可能性あり。ご注意ください。

*1日(土)ロレンツォ・ギエルミ オルガン・リサイタル:東京芸術劇場コンサートホール
*2日(日)倫理的・宗教的な森 全曲演奏シリーズ1 宗教的マドリガーレとミサ曲(古楽アンサンブル エクス・ノーヴォ):台東区生涯学習センターミレニアムホール
*5日(水)瞳よ涙を流せ 17世紀イタリアの宗教的な歌(アンサンブル・ポエジア・アモローザ):日本福音ルーテル東京教会
*7日(金)マショーのノートル・ダム・ミサ(ヴォーカル・アンサンブル カペラ):東京カテドラル聖マリア大聖堂
*8日(土)つのだたかしコンサート ビウエラとウード:松明堂音楽ホール ♪当初より内容変更
*12日(水)アンサンブル・ヴェルジェ5 フラウト・トラヴェルソとヴィオラ・ダ・ガンバを迎えて:日暮里サニーホールコンサートサロン
*15日(土)歌とリュートの織りなすルネサンス・バロック音楽の世界(水戸茂雄&若林ゆみ):神保町スタジオ
*16日(日)ロンドンに移住した作曲家たち ヘンデルとその周辺(木島千夏ほか):日本ホーリネス教団東京中央教会
*19日(水)調布国際音楽祭 深大寺本堂に響くバロックチェロ(上村文乃ほか):深大寺本堂
*23日(日)優雅な日本の人々(サラベルデ・コンソート):今井館聖書講堂
*  〃   調布国際音楽祭 音楽の捧げもの(バッハ・コレギウム・ジャパン):調布グリーンホール
*28日(金)上野学園大学古楽部会教授陣による 古楽の調べ:旧東京音楽学校奏楽堂
*30日(日)ローカルキャストで!竹ノ塚バロック2(吉澤徹ほか):わたなべ音楽堂

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