映画落穂拾い・いつまでも見られると思うな劇場未公開作品特集
★「こいつで、今夜もイート・イット アル・ヤンコビック物語」
監督:エリック・アペル
出演:ダニエル・ラドクリフ
米国2022年
WOWOWで本邦初公開。ある年代以上の洋楽ファンならみんな知っているアル・ヤンコビックの伝記……とは名ばかりの怪作・奇作・珍作である。全体の92%はデタラメとパロディだろう。でもご当人を知らない若いモンは半分信じちゃったりするかも(;^_^A
ダニエル・ラドクリフはアルを熱怪演(歌は吹替らしい)しているが、トレードマークのメガネとチリチリ髪とアロハシャツを取っ払うと、外見で似ている部分はほぼない。逆に言えばこの3点があれば誰でもアルになれるぞ👍
なお、ご本人もひそかに特出している(見てても分からなかった)。
成り行きでアコーディオンを手にした若者が、替え歌で一世を風靡するも方向転換してオリジナル曲で勝負。すると逆に替え歌にされたって……ウソも大概にせえよ💥である。
推測するに、実話なのは両親との葛藤部分とレコード会社で「替え歌なんか誰か聞くか」と罵られたところぐらいか。さらに物語はぶっ飛んだ方向へ進んでいく。
テーマは例え変であってもそんな自分自身を認めよ、と一応言っておこう。
パーティー場面ではピーウィー・ハーマン、ウルフマン・ジャック、ディヴァインにダリやウォーホルなどがウロウロする。
マドンナについては主要人物になっているのだがかなりひどい悪女扱い(エヴァン・レイチェル・ウッドが怪演)。ご本人は怒らなかったのかね(^^?
誰も予想しえなかった衝撃の結末😱に続き、エンドクレジットが始まってしばらくすると笑撃のシーンが出現するので見逃さぬように。
さて、この邦題は苦肉の策でひねり出したのだろうか。でもそもそもアルを知らない人は『イート・イット』も知らないだろうから完全に意味不明なのでは?
★「レンフィールド」
監督:クリス・マッケイ
出演:ニコラス・ホルト、ニコラス・ケイジ
米国2023年
ダブル・ニコが豪華共演!ということでごく一部で話題ながら未公開だった問題作を、ケーブルTVの配信で鑑賞した。
舞台は現代、ニコケイのドラキュラに下僕レンフィールドがこき使われて幾年月が経過していた。教会の自助グループに参加して、パワハラ上司の悩みをつい告白してしまうのであった。
レンフィールド自身は吸血鬼じゃないのね(初めて知った(^^;)。
そこへ街にはびこるマフィアと熱血警官(全くわきまえないオークワフィナ)が絡んできて、血がドバドバ飛ぶのは当然だが腕やら脚やらも飛ぶし、派手なアクションがこれでもかと繰り広げられる。思わず口アングリの過剰な迫力である。スタントの方々オツ✨ですと言いたくなるほど。
みどころはなんと言っても、ドラキュラを嬉しそうに演じながらいじめるニコケイに、長身を縮めるようにしていぢめられるホルトであろう。これは見逃せねえ~👀
果たして強圧的なボスから逃れられるか--極めて現代的な問題でもある。古の産物ドラキュラとのギャップがバカバカしい。
監督はクリス・マッケイ。『レゴ・ムービー』とか『レゴ・バットマン』やった人なのに、これの前作は全く話題にならなかったようだし、どうなってるんですかね?
★「ベスト・オブ・エネミーズ 価値ある闘い」
監督:ロビン・ビセル
出演:タラジ・P・ヘンソン、サム・ロックウェル
米国2019年
アマプラ鑑賞。黒人女性が主人公なので日本では例の如く配信スルーである。
1971年ノースカロライナ、タラジ・P・ヘンソン扮する公民権運動活動家とKKK団支部長(サム・ロックウェル)が親友になるという嘘のような実話だ。
ヘンソンは地元住民に何かあれば白人議員に抗議をいとわぬウルサ方で、返す刀でエリート黒人もバッサリ⚡ ロックウェルはKKKに入って初めて自己を承認されて居場所を見出した男である。役者二人とも後ろ姿だけでもその人物像を的確に表現しているのに感心した。
他にお懐かしやアン・ヘッシュが彼の妻役で出演。
この対照的な両者がどうあっても仲良くなるなど考えられない。そんな状況がユーモア交じりに描かれるが段々と笑えない事態へ……(-_-;)
演出はテンポよくツボを外さず面白かった。テーマとしては町の騒動の顛末と男の自己回復が中心なので、どちらかというとロックウェルの方が主人公だろう。
両者の問題解決の手法として「シャレット」(アクセントは後半にある)なる方式が採用される。聞いたこともないが、作中でも知っていた人物はほとんどいないと描かれている。
対立する住民同士の時間をかけた検討会(?)みたいなものだが、さすが米国ならではという印象。日本では成立しそうにない。
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